
夫婦が営むテイクアウトの店。色とりどりのおかずが並び、根強いファンが訪れます。
<常連客>
「これを食べると、頑張れます、仕事」
<常連客>
「もう慣れちゃったから、ここのお弁当以外はあまり買わない」
夫婦が作る体に優しい薬膳弁当です。静岡県熱海市の観光名所、起雲閣の近くにある「ぶーちゃんのたまご焼き」。吉岡智子さんと、「ぶーちゃん」こと夫の仁さんの2人で店を切り盛りしています。
仁さんは和食の料理人で、得意料理は卵焼きです。
<ぶーちゃんのたまご焼き 吉岡仁さん>
「砂糖や醤油など、いろいろな調味料が入っていて、その中で重要なものは鰹節と卵になってくる。甘いが、そこまで甘くない」
卵焼きには昆布の出汁も入れます。火は弱火を徹底、これが仁さんの卵焼きの決め手です。
<吉岡仁さん>
「ふわふわになるんですよね、思った以上に」
出汁を足しながら、ひっくり返すこと6回!
<吉岡仁さん>
「こんな感じです、ふわふわ感が伝わってくれればいいかな」
プルプルの弾力です。この卵焼きを加えて吉岡さん夫婦は2025年から週に1度、手作りのお弁当を売っています。
メニューは薬膳インストラクターの資格を持つ妻の智子さんが考えます。
<吉岡智子さん>
「薬膳って、特別な材料を使ったから薬膳ではないんですよ。その土地で採れた旬の物を旬の時期に、この土地に住んでいる人が食べる、それが薬膳になるんですね」
蒸し暑いこの季節に「鯵の南蛮漬け」を選びました。漬ける酢には砂糖、鰹や昆布の出汁を加えます。味がさっぱりしていて、消化・吸収が良いのが特徴です。
疲労回復や滋養強壮に効果が期待される和え物「山芋と梅干しのさっぱり和え」。むくみやめまいを防ぐとされる「そら豆」を使ったチーズ焼きも作りました。
<伊東支局 青島悠記者>
「どうですか?きょうの出来は?」
<吉岡さん夫婦>
「きれいだと思いますよ。きょうが一番ベスト。(2か月に1回メニューが変わるので)進化していくわけですよ、当然。最終的に良くならないとね」
<お客さん>
「どうしよう?あっ!薬膳があるじゃん。じゃあこれにしよう。なんかお母さんの味みたいなものも入ってるし、だからよく使うよね」
<お客さん>
「時期に合ったものを合わせて作ってくれている。梅のゼリー、夏対策みたいなものが結構お気に入りで買ってます」
<お客さん>
「味はおいしいですよ、優しい味なのね、しつこくなくて」
智子さんが薬膳を学んだきっかけは、がんに侵された父・登さんに体に優しい料理を食べてほしいという思いからでした。
願いは叶いませんでしたが、多くの人へ届けたいと弁当作りを始めました。
<吉岡智子さん>
「野菜が入っているからうれしいよという声をたくさんいただくので。喜んでもらえる結果につながっているんだったら、よかった」
<吉岡仁さん>
「最後にその人たちの心の中に残るようなお弁当、そういうのを作っていきたいなと思ってます」
薬膳弁当の献立は2か月ごとに変わり、7月と8月は夏野菜を使ったチンジャオロースや梅ご飯が登場する予定です。弁当は木曜日から土曜日のいずれかの日に販売します。