
静岡県川根本町で県の絶滅危惧種に指定されている鳥「ヤマセミ」の調査が行われました。個体数を調査するのは子どもたちを含む一般の参加者。町の自然に触れながら環境と向き合う取り組みです。
<エコティかわね 芦沢哲哉さん>
「ヤマセミの鳴き声。姿を見るよりも鳴き声でみんな判断する」
川根本町で自然体験プログラムを展開する「エコティかわね」が行ったヤマセミの調査です。町の内外から集まった子どもから大人まで92人が参加しました。川根本町北部で10か所のポイントに分かれ、精度の高い個体数の把握を目指します。
<初めて参加した人>
「見てみたいと思って、どんな鳥か知らなかったので。楽しみです。見られればいいけど」
<去年も参加した人>
Q.前回の調査は?
「全然、痕跡もなし。(ヤマセミは)たぶんいない、周りに。そんな貴重な鳥みたい」
ヤマセミは、日本全国の山地の渓流に生息するハトほどの大きさの鳥で、水中に飛び込み、生きた魚を捕まえて食べています。ヤマセミが生息する場所は、河川の護岸改修や川辺の林の伐採などで減っていて、近い将来、絶滅する危険性が高いとされています。町の面積の9割以上が森林の川根本町は、ヤマセミの生息環境が残る貴重な場所です。
<芦沢さん>
「(ヤマセミの巣は)崖の上に作る。平らなところだと、ヘビとかにやられやすいから岸壁に」
過去の調査から、ヤマセミは、土の崖に1メートルほどの横穴を掘り、その中で子育てをすることが分かっています。調査の参加者は、ヤマセミが暮らすための環境を確かめながら、生き物の観察や自然を生かした遊びを楽しみました。
<参加した親子>
「正面ぐらい、動いてるじゃん2匹」
「黒い奴が動いてる動いてる」
「あ、いたいたいた、カエルがいた。水の底に」
「見てみてあの高さ」
「ほんとだあそこにもあった。すごい」
「どうやって登ったんだろうね」
「モリアオガエルが卵を産んで、いま下の池に落ちています」
<芦沢さん>
「お正月に見たことない?」
「お正月にしめ飾りのところにあって、ここに橙がつく」
「ウラジロっていって、裏が白いから」
「せーの、それ!」
ヤマセミのエサになる魚が食べる水生昆虫調査も行われました。
<参加した子ども>
「なんかここに、縞模様が」
調査は約2時間半ほど行われましたが、ヤマセミの姿を確認することはできませんでした。
<参加した子ども>
「虫はいたんだけど、目的のヤマセミはいなかったから、今度ヤマセミを探すときは見つけたい」
<参加した人>
「みんなで関心を持って、少しでも行動を起こせば、ヤマセミにも環境がいいだろうし、ここに住む私たちにも良いことだと思うので、微力でもこういったことがあればまた参加したい」
過疎化が進む町で、数を減らしているとみられるヤマセミ。「エコティかわね」は多くの人に環境への関心を高めてもらうため、今後も参加型の調査を続けます。