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「早寝早起き」の街・静岡で、なぜ50代女性の3割が睡眠不足?データが映す「隠れたストレス」と五感ケア

大型連休も終わり、気が付けば梅雨の季節が目前に迫っています。 5月病や6月病という言葉があるように、季節の変わり目は肉体的な疲れがたまりやすいだけでなく、心もどこか不安定になりがちな時期です。 「気が付いたらリビングで寝落ちをしてしまい、すっきり起きられなかった―」そんな経験を持つ方も多いのではないでしょうか。 睡眠の質は、ビジネスパーソンの生産性や判断力に直結するだけでなく、あらゆる人の「生活の質(QOL)」を左右する大切な要素です。しかし、日々の忙しさの中で、つい後回しにされやすい課題でもあります。 今回は、TBS生活DATAライブラリが実施した静岡市での調査をもとに、静岡市民の睡眠の実態を多角的に読み解いていきます。

1. 静岡市民は「超・朝型」? データが証明する早寝早起きの地域性

皆様は「静岡市民は早起き」という通説をご存知でしょうか。その実態を探るべく、まずは平日・土曜日・日曜日それぞれの「家庭内で起床している時間帯」について、全国調査(n=7,400)と静岡市調査(n=563)を比較してみました。

結果を見ると、平日・土日ともに、静岡市は全国平均と比べて朝早くから活動している人が多い傾向が確認されました。特に注目すべきは「午前4時台」です。各曜日ともに、この早朝の時間帯からすでに起きている人の割合が全国平均を上回っており、静岡市民の朝のスタートの早さが数字にも表れています。さらに、午前6時台から午前8時台にかけての起床率も同様に全国を上回っていました。

 一方、夜側のデータを見ると、午後10時以降の在宅・起床率が平日・土曜ともに全国平均よりも低く推移しており、早い時間帯に就寝している人が多いことがうかがえます。 つまり、静岡市民は「早起き」であると同時に「早寝」でもあり、全体的に生活リズムが全国と比べて前倒しになっていることがデータからも裏付けられました。

静岡市は通勤・通学時間が大都市圏と比べて比較的短く、職住近接の恵まれた環境にあるため、こうした規則正しい生活習慣が根付きやすいと考えられます。しかし、この「早寝早起きの街・静岡」において、誰もが理想的な睡眠時間を確保できているかというと、現実はそう甘くはないようです。 

2. 女性50代は3人に1人が睡眠不足?! 働き盛りのシニア女性に何が?

次に、静岡市民の具体的な「睡眠時間」について見てみましょう。

一般的に6時間を下回ると「睡眠不足」とされています。前述の通り、静岡市は通勤環境などに恵まれているため、「全国よりしっかり睡眠時間が確保できているのでは?」と思われがちですが、今回の調査では、3〜5時間台(6時間未満)の睡眠不足と回答した人が全体の約2割に上りました。環境の利点があっても、現代社会において睡眠不足は避けられない課題であることがうかがえます。

さらに、このデータを「性年代別」に細かく分析すると、それぞれのライフステージ特有の非常に興味深い傾向が浮かび上がります。

まず30代では、女性よりも男性のほうが睡眠時間が短いという結果が出ています。30代男性といえば、職場では責任ある仕事を任され始める「一番の働き盛り」。それと同時に、プライベートでは結婚や子どもの誕生など、家庭環境が激変する時期でもあります。仕事の重圧や積極的な育児参画などが、この年代の男性の睡眠時間を削っている背景が想像できます。

一方で、40〜60代になると逆に女性のほうが短い傾向にシフトしていきます。特に顕著なのが「女性50代」で、なんと3割以上が3〜5時間台と回答していました。この世代の女性は、仕事の継続に加え、家事、さらには親の介護や子育ての最終ステージなど、複数の役割を一人で抱え込みやすい生活背景があります。それが、静岡の豊かな住環境をもってしてもカバーしきれない、睡眠不足につながっている可能性が考えられます。

3. 「時間は足りているのに、眠れた気がしない」―若年層の睡眠体力と、質のギャップ

続いて、睡眠の「質」についての悩みを見ていきましょう。 調査の結果、女性10代を除くすべての年代で、女性の方が男性よりも睡眠の質に悩みを抱えている割合が高いことが分かりました。その中でも特に注目したいのが、20・30代のデータです。

よく「眠るのにも体力が必要で、年齢を重ねると長時間眠れなくなる」と言われますが、今回のデータを見ても、10時間以上の長時間睡眠をとっている割合は男性が20代、女性が30代で高くなっています。若年層ならではの「しっかり眠る体力」があることがデータからも分かります(グラフ②)。

実際、この層の8割弱は6〜7時間(あるいはそれ以上)の睡眠時間を確保できています(グラフ②-2)。にもかかわらず、女性20・30代の約3割が「睡眠の質に悩みを感じている」と回答しており、これは他の性年代と比較しても際立って高い水準です。

「時間はたっぷり確保できている(眠る体力もある)のに、ぐっすり眠れた気がしない⋯」。この睡眠時間の長さと満足度が必ずしも一致しないという歪みは、単純に夜更かしが原因というだけでなく、「社会的な責任(仕事・育児)」と「自分の時間(スマホでの癒やしなど)」の板挟み、そして「女性の身体のバイオリズム」が絡み合った、現代社会の構造的な課題と言えそうです。だからこそ、罪悪感を持たずにリラックスできる「1日の終わりの整え方」が今、大切になっているのかもしれません。

4. “睡眠の質”と“ストレス”との深い相関関係

睡眠の質に悩みがある人の日常的なストレスの状況を調べると、「よく感じる」「ときどき感じる」と答えた人がそれぞれ39.8%に上り、実に8割弱が何らかのストレスを抱えていることがわかりました。やはり、睡眠の質と日々のストレスには極めて強い相関関係があるようです。

では、このストレスや睡眠の悩みに対して、当事者の方々は日頃どのように対応しているのでしょうか。その実態が次のデータに表れています。

5. 「五感の癒やし」に頼る現代人のセルフケア実態

「快適な生活のために利用しているもの」を見ると、睡眠の質に悩む人の利用割合は、いずれの癒やしアイテムにおいても調査全体(平均)を大きく上回っており、なんとかして今のストレス状態を改善したいという切実な思いが伝わってきます。

具体的な項目を見ると、4位の「安眠枕・ベッド」や5位の「マッサージ」といった、身体へ直接働きかけるアプローチも根強い人気です。多くの人が直接的なセルフケアで睡眠環境の改善を試みていることがうかがえます。しかし、さらに興味深いのはトップ10の大半を占めるアイテムの顔ぶれです。

1位の「入浴剤」をはじめ、「脱臭・消臭グッズ」「アロマオイル」「お香」「ハーブティー」など、嗅覚や味覚、あるいは視覚(2位の観葉植物)といった『五感』を通じて、間接的・心理的に心をほぐそうとする商品・サービスが目立っています。

これは、脳の疲労や自律神経の乱れが生じやすい、現代のストレス社会ならではの特徴と言えるかもしれません。単に身体を横たえて休めるだけでなく、五感で緊張を解き、睡眠に適したリラックス状態を自ら作り出そうとする、現代人の洗練されたセルフケアの工夫が見えてきます。

まとめ:見えにくい疲労に寄り添うために

今回のデータが示すのは、睡眠の課題が一部の人に限った話ではなく、幅広い世代やそれぞれのライフステージにおいて、形を変えながら誰もが直面する普遍的なテーマだということです。

睡眠の質の低下は、集中力の低下や慢性的な疲労感といった形で、じわじわと日々のパフォーマンスや生活の質(QOL)に影響を与えます。だからこそ、身体の表面的なケアはもちろん、五感を癒やすような「心のゆとり」を持てる環境づくりが、今まさに求められているのではないでしょうか。

従業員の健康管理や職場環境の整備、家庭内での健やかな暮らしを考えるうえで、「睡眠の質」という切り口は、私たちがまだ十分に目を向けられていない領域かもしれません。大型連休が明け、梅雨の季節へと向かう今、まずは身近な睡眠やリラックスの時間から、ご自身や周囲の環境を優しく見つめ直す小さなきっかけにしていただければ嬉しく思います。

出典:
2025.11 TBS生活DATAライブラリ 静岡市調査(男女13~69歳 563サンプル)
2025.11TBS生活DATAライブラリ全国調査(男女13~69歳 7400サンプル)

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