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〈 五輪直前 一足先に競技開幕 〉

 東京五輪開幕まであと3日。23日の開会式を前に、ソフトボールと女子サッカーがあす、初戦を迎えます。一足先に始まる2種目の県勢注目選手をチェックしておきましょう。
 〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・石岡美来〉
 ⇒日程や静岡県勢選手名鑑は特設ページでご確認いただけます

五輪 開幕前、先陣切り21日初戦 初舞台に意欲たぎる静岡県勢

 23日に開幕する東京五輪の先陣を切って、ソフトボール日本代表とサッカー女子日本代表が21日に初戦を迎える。ソフトボール日本代表の遊撃手の渥美万奈(トヨタ自動車、常葉菊川高出)と、なでしこジャパンのMF杉田妃和(INAC神戸、藤枝順心高出)が初の大舞台に意欲を燃やしている。


 ■ソフトボール 渥美万奈
 全競技の最初に登場するソフトボール日本代表の渥美は「個人的な目標はない。チームが勝てばいい」と金メダル獲得に全力を尽くす。昨季の日本リーグで無失策の守備の名手は「たとえ自分がエラーしようが、チームが最優先。勝利に貢献するのが一番」と話す。
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初戦に向けて意気込む渥美万奈=9日、群馬県高崎市(日本ソフトボール協会提供)

これまで代表でも、トヨタ自動車でも背中でチームを引っ張るタイプだった。6月で32歳となり周囲には後輩が増えてきた。「無表情でやっていると、ぴりぴり感が伝わり、重圧を与えてしまう」と、グラウンドではこれまで見せなかった笑顔を心掛けている。
 オーストラリアとの開幕戦の舞台となる福島県営あづま球場(福島市)は人工芝に改修され、球足の速い打球が想定される。「イレギュラーが少ない分、思い切って前に出られる。逆に速い打球には後ろに一歩下がることもできる」と対応に自信をのぞかせる。
 海外チームと強化試合ができない中、男子投手を相手に打ち込んだ。9日にはようやくメキシコとの練習試合が実現し最終調整した。「チーム全員でいい色のメダルを取れるように全力で戦う」と決意を新たにした。
 ■サッカー女子 杉田妃和
 杉田は札幌ドームで行う国際サッカー連盟(FIFA)ランキング8位のカナダとの開幕戦に向け「比較的涼しいところでできるのでコンディションはいい。互角の戦いになる」と気を引き締める。さらに「(ランク10位の日本と)どちらのレベルが高いか。そこを見せたい」と本番が待ちきれない様子だ。
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サッカー女子国際親善試合 日本-オーストラリアの後半、競り合う杉田妃和(右)=14日、サンガスタジアムbyKYOCERA

 本番前最後の強化試合となった14日のオーストラリア戦では、後半17分から遠藤純(日テレ東京V、JFAアカデミー福島出)とともに途中出場。中盤の左サイドに入り、最前線の遠藤との巧みな連係で攻撃を活性化させた。
 藤枝順心高時代にU-17(17歳以下)女子ワールドカップ(W杯)で世界一に輝くなど大舞台を知る。「五輪で優勝したい思いは強いが、目標が先に行きがちになる。一戦一戦しっかり戦うとみんなで話した」と冷静に初戦を迎える。
 INAC神戸ではチーム全体で杉田を送り出してくれた。「すごくうれしかったが、それ以上に五輪はそういう場所と思わされた。なおさら勝っていい報告をしたい」と誓う。遠藤とともに新たにネイルアートを施し気分を高め、華やかにデビュー戦を白星で飾るつもりだ。
〈2021.7.20 あなたの静岡新聞〉
 

渥美「堅実な守備、丁寧に」 こだわる失策ゼロ

 31歳のベテラン遊撃手の渥美は「堅実な守備を一つ一つ丁寧にやっていきたい」と自然体で代表入りを受け止める。派手なプレーではなく確実にアウトを奪う守備が真骨頂だ。

抜群の守備力を握る渥美万奈=昨年11月、横浜スタジアム(日本ソフトボール協会提供)
抜群の守備力を握る渥美万奈=昨年11月、横浜スタジアム(日本ソフトボール協会提供)
  専門誌が行った選手が選ぶランキング「グラブさばき部門」で堂々の1位。「球がグラブに吸い込まれる」という堅守で昨季のリーグ戦は失策なし。「そこは一番こだわっていきたい。エラーがないからといって取れる打球もあった」と厳しい目標を自らに課す。宇津木監督は「上野投手はショートに打たせたい。確実に受け止めてくれるから」と渥美に全幅の信頼を寄せる。
  2015年秋に酷使してきた右肩を痛め、手首を使った投げ方に変えた。練習をともにした経験があるプロ野球西武の遊撃手源田壮亮の脚の使い方を参考にし、さらに素早い守備の動作を目指す。
  高校時代の部活動日誌の延長で社会人入りしてからも日記を付けている。練習内容や感じたことを忘れないように書き留める。1年前、五輪の延期が決まった時には「ちょっと残念」と記したが、「また1年練習できる期間が増えた」と加筆し前向きに捉える。
  内野の要としての自覚は十分だ。「大事な場面で冷静に判断して一言を伝え、みんなを落ち着かせたい」。守備の名手が日本の内野陣をもり立てる。

 あつみ・まな 1989年6月15日、浜松市東区出身。小学1年でソフトボールを始め、浜松曳馬中から常葉菊川高に進み主将を務めた。最高成績は全国選抜大会準優勝。2008年トヨタ自動車入り。日本代表には12年に初招集され、16、18年世界選手権に出場した。167センチ。

〈2021.3.24 静岡新聞朝刊〉
 

杉田「これからにつなげる大会に」 苦楽経て大舞台へ

 東京五輪に出場するサッカー女子日本代表に選ばれた杉田妃和(24)=INAC神戸、藤枝順心高出=は18日(※6月18日)夜、大阪市内で開いた会見で「東京五輪は現役で一度しか経験できない。うれしいし、これからにつなげる大会にしたい」と喜びを語った。会見に出席した神戸の同僚と大舞台のピッチに立つのを心待ちにしている。

東京五輪のサッカー日本女子代表に選出された杉田妃和=10日、広島市のエディオンスタジアム広島
東京五輪のサッカー日本女子代表に選出された杉田妃和=10日、広島市のエディオンスタジアム広島

 高校を卒業して入団した2015年、神戸には日本代表をけん引した澤穂希さんら多くのスター選手がいた。エースナンバーの10番のユニホームを用意し誘ってくれたクラブもあったが、あえていばらの道を選んだ。高校時代の恩師、多々良和之さんは「出場できるチームに行った方がいいとも思ったが、サッカーに専念できるクラブは神戸しかなかった」と当時を回想する。
 藤枝順心高や世代別代表で活躍してきた杉田でも、神戸ではすぐに試合には出られなかった。先発に定着したのは15年限りで澤さんが引退した後だった。なでしこジャパンに初招集されたのは18年7月。代表入りに高校卒業から約3年を要したが、19年の女子ワールドカップ(W杯)フランス大会に出場した。
 昨年からのコロナ禍で杉田は「いつもの感じのモチベーションが保てない」とサッカーへの熱量が下がった時期があったと明かす。オフシーズンを長めに取って自分自身と向き合い「あまり気を張りすぎないように、自分からリラックスできるようになった」と出口を見つけた。
 4月のパナマ戦で左足を振り抜き、20試合目で待望の代表初得点。続く6月のウクライナ戦でも連続ゴールを挙げ「得点を狙う意識がついてきた」と自信を深めた。高倉麻子代表監督は「まだ粗いところが多いが、さらに大きく成長してほしい」と期待は大きい。
 守備的なボランチから攻撃的なトップ下まで幅広い起用が見込まれる。「どのポジションで出ても自分の良さを出していきたい。いい結果を出していい報告をしたい」。青春時代を藤枝で過ごしたレフティーが、苦楽の経験を積み、五輪で輝こうとしている。

 すぎた・ひな 1997年1月31日生まれ。北九州市出身。藤枝順心高2年時に全日本高校女子サッカー選手権準優勝。2014年U-17(17歳以下)女子ワールドカップ(W杯)で優勝に貢献。チーム最多の5得点を挙げて大会最優秀選手になった。19年女子W杯に出場。日本代表通算22試合2得点。162センチ。
〈2021.6.19 あなたの静岡新聞〉

Q)なぜ開会式前に試合が始まるの?

 A)オリンピックの開催期間は、オリンピック憲章第5章規則32付属細則で次のように定められている。

 「オリンピック競技大会の競技実施期間は16日間を超えてはならない。ただし、関係IFおよびIOC理事会がこれと異なる期間を承認した場合は、その限りではない。その場合、いくつかの試合および予選は、開会式に先立ち実施することができる」
 オリンピック憲章で定められた16日間に試合日程を収めようとすると、競技によっては過密スケジュールとなり、選手の健康を害す恐れもあることから、特例的に開会式前に試合が始まるケースがある。