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2月閉館 沼津・あわしまマリンパーク 歩み振り返る

 2月12日の営業を最後に閉館することが分かった沼津市内浦重寺の水族館「あわしまマリンパーク」。昭和39年に開業した前身施設「淡島海洋交園」を含めるとおよそ60年にわたり、沼津の観光名所として親しまれてきました。施設に関するエピソードをまとめました。

老朽化、来館者減少...2月12日閉館 人気アニメ「ラブライブ!」聖地

 沼津市内浦重寺の水族館「あわしまマリンパーク」が2月12日の営業を最後に閉館することが22日、分かった。施設の老朽化に加え、来館者減少や諸経費高騰が経営を圧迫したとみられる。

2月12日での閉園が決まったあわしまマリンパーク=2021年9月、沼津市内
2月12日での閉園が決まったあわしまマリンパーク=2021年9月、沼津市内
 同水族館は駿河湾に浮かぶ離島の淡島にあり、駿河湾の生き物を中心に展示するとともに、アシカショーやイルカの公開トレーニングを開催。国内最大規模のカエル展示施設やレジャー施設を併設する。関係者によると、落ち込んだ来館者数がコロナ前の水準にまで戻らず、近年は光熱費や動物の餌代に加え、対岸から島に渡る船の燃料費が高騰していたという。
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 水族館を運営する株式会社淡島マリンパークはホームページで「これまでのご愛顧に対しまして、心から感謝申し上げます。残り少ない営業となりますが、最終3日間はイベントも開催します」とのコメントを発表した。  事務所で応対した女性職員は同日夜、「従業員も閉園は突然のことだった。閉園日まで笑顔でお客さまをお迎えしたい」と困惑した様子で話した。飼育する動物の今後や従業員の処遇は未定という。
 淡島には別会社が運営する淡島ホテルがある。関係者によると、島に渡る船はホテルと水族館が共同運航しているため、水族館閉館に伴うホテル運営への影響も懸念されるという。
 同水族館は1960年代前半に開業した淡島海洋交園が前身で、84年に現在のあわしまマリンパークに改称した。沼津市を舞台にした人気アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」の聖地としても知られる。

日本国内唯一だった海上ロープウエー 「大名かご」かたどったゴンドラも話題

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あわしまマリンパークからロープウエーに乗ること5分で淡島に到着。夫婦岩や淡島神社などを巡ることができる島内は1周1時間半。輝く波と富士山を眺めながらぜいたくな森林浴が楽しめる※2008年8月8日静岡新聞朝刊「空からこんにちは」より 静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から撮影
ロープウエー 2017年に撤去 ※2017年9月12日静岡新聞朝刊より

撤去工事で駅舎から取り出されたロープウエーのゴンドラ
撤去工事で駅舎から取り出されたロープウエーのゴンドラ
 沼津市の水族館「あわしまマリンパーク」は、日本唯一の海上ロープウエーとして親しまれた同パークのロープウエーの撤去工事を始めた。陸地と水族館がある淡島をつなぐワイヤ約700メートルを専用重機で全て回収する。
 重さ約1・4トンの45人乗りゴンドラ2台は10日までにクレーンで地上に降ろされた。工事関係者によると、廃棄するという。
 ロープウエーは同パークの前身「淡島海洋交園」の開業に合わせて1964年7月に運行を開始した。片道330メートルで、当時は大名かごをかたどったゴンドラも話題になった。
 運営会社の事業集約方針で2008年8月に廃止。来場客は現在、専用船で陸地と淡島を行き来する。ロープウエーの復活を模索した時期もあったが、駅舎の耐震化費用がかさむことなどを理由に完全撤去することになった。
 リフトやロープウエーなどの輸送設備関係者でつくる日本索道工業会(東京都)によると、海をまたぐロープウエーは同パークの廃止以後、事業化例がない。

来園者を癒やした生き物たち ペンギンの流しアジキャッチ!/ジンベイザメを保護

※2021年8月9日静岡新聞朝刊より

流れるアジをキャッチするペンギンたち=沼津市のあわしまマリンパーク
流れるアジをキャッチするペンギンたち=沼津市のあわしまマリンパーク
 沼津市内浦重寺のあわしまマリンパークで、ケープペンギンに餌のアジを流しそうめんのように与える夏恒例イベント「ペンギンの流しアジ」が来園者の人気を集めている。
 20羽を超えるペンギンたちは、長さ約8メートルのアクリル製のといに沿って並んだ。水と一緒にアジが流れてくると、くちばしで上手にキャッチ。他が取り逃したアジを、といの先に置いたザルで待ち受けるペンギンもいた。
 ことしは来園者がイベントに参加できる企画も用意した。家族連れらが流したアジにペンギンが食いつくと、来園者から歓声が上がった。担当者は「アジを横取りしたり、控えめに待っていたりと、動きから分かる1羽1羽の性格の違いを楽しんでほしい」と話した。 伊豆沖の網にかかったジンベイザメを保護、一般公開
※2012年9月4日静岡新聞朝刊より
 伊豆半島の沖合で定置網にかかっていたジンベイザメを沼津市内浦重寺の水族館あわしまマリンパークが保護し、一般公開している。同水族館によると、国内でほかにジンベイザメが見られる水族館は5カ所だけ。珍しさも手伝って、海のプールでゆったりと泳ぐ姿が人気を集めている。
 
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 成長すると体長十数メートルにもなるジンベイザメは熱帯、亜熱帯の海を中心に世界中に生息する世界最大の魚類。保護したのは若い雄で体長は約4メートル。8月27日に伊豆東海岸沖の定置網にかかっていたのを漁師が発見した。28日、水族館スタッフ10人以上が現地に向かい、クレーンを使って大型トラックに載せ、搬入した。
 健康状態は良好で、3日からはオキアミなどの餌も食べ始めた。来館者の反応は上々で、「できれば、ずっと飼っていたい」(佐藤充館長)が本音だが、静岡県内では海水温が下がる冬場の飼育は困難という。

動 画

公式の擬人化キャラ「淡島うみね」も人気

※2016年7月12日静岡新聞朝刊より

敷地内に設けられた「淡島うみね」の特設コーナー=沼津市のあわしまマリンパーク
敷地内に設けられた「淡島うみね」の特設コーナー=沼津市のあわしまマリンパーク
 「淡島うみね」のモチーフはウミウシ。昨春、同館のウミウシ展をきっかけに、地域の特産物などを、インターネットを通じてキャラクター化する「静岡もえしょくプロジェクト」の一環としてデザインを募った。約60点から選び、2015年7月中旬に命名式を行った。
 キャラクター名のツイッターアカウントで雌雄同体などウミウシの珍しい生態を発信すると関心が高まり、フォロワーは2200人超に。気を良くした同館はオリジナルグッズを次々に開発し、特設コーナーもオープン。現在は定規やステッカー、キーホルダーなど8種を販売している。
 同館は今夏、新しいキャラクターとして姉「淡島おとめ」、幼なじみの「内浦ましろ」を発表した。3者の物語をネット上や敷地内で展開し、グッズも発売する予定。同館の担当者は「キャラ先行で構わない。多くの方がウミウシに興味を持ってくれれば」と願う。
 統計はないが、来館者増にも貢献している。「男性1人の来場が増えた」と担当者。新商品が発売されるごとに、秋田県から自家用車でやってくる“猛者”もいるという。6月下旬にさいたま市から訪れた会社員鈴木亮太さん(24)は「ウミウシを擬人化するのか、という驚きがある。フードとノースリーブの組み合わせが斬新」と造形の魅力を語る。
 (橋爪充)
地域再生大賞