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2024年、静岡県内のスギ花粉は? 予想と対策などをまとめました

 2024年の幕開けから半月が過ぎ、冬らしい寒さが続く中でも昼間は暖かさも感じられるようになると、そろそろスギ花粉症の症状を気にしだす人も多いのではないでしょうか。24年の静岡県内のスギ花粉飛散量や開始時期の見通し、取るべき対策などを1ページにまとめました。

県内花粉量「平年並み」、飛散開始は1月下旬 暖冬で平年より早い予想

 静岡県農林技術研究所森林・林業研究センター(浜松市)は(2023年12月)11日、2024年春の県内のスギ花粉量は平年並みとの予測を発表した。本格的な飛散開始は2月中旬以降の見通し。

 11月27日~12月1日に県内20カ所のスギ林で、花粉の発生源となる雄花の着花状況を調査。6地点で「少ない」、14地点で「平年並み」と判定された。過去10年間の着花量平均を100とした場合の指数は75だった。
 同センターの担当者は「今春の飛散量が多かった反動と平年並みの降水量が要因となり、抑制された」とみる。
〈2023.12.12 あなたの静岡新聞〉
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 民間気象会社ウェザーニューズ(千葉市)は17日、今年の花粉の飛散予想を発表した。暖冬の影響で全国的に開始時期が平年より早まり、1月下旬には九州や中国、東海、関東の一部でスギ花粉が飛び始め、2月上旬には西日本と東日本の太平洋側を中心として広範囲に広がる。静岡県は1月下旬の予想。2月中旬には北陸や東北南部、下旬から3月上旬に東北北部でも始まるとみている。
 飛散量は広範囲で昨年を下回るが、平年比は全国平均で125%。近畿から東北は平年をやや上回る地域、九州南部と中四国は平年並みの場所が多い。昨年の飛散量が記録的に少なかった北海道は、反動で昨年の約6倍の予想となっている。
 ピークはスギが2月中旬、ヒノキが3月中旬から迎える。
 同社は「飛散量は昨年より少なくなるが、平年並みか上回るエリアが多く、油断せず対策をしっかりしてほしい」としている。
〈2024.01.18 あなたの静岡新聞〉

新型コロナと似た症状も 県内耳鼻科医は早期治療を呼びかけ

※2021年2月17日 静岡新聞朝刊から

医療用マスクとフェースマスクガードを併用するなど、自身も新型コロナ対策を徹底して診察に当たる森泰雄院長=2021年2月、藤枝市
医療用マスクとフェースマスクガードを併用するなど、自身も新型コロナ対策を徹底して診察に当たる森泰雄院長=2021年2月、藤枝市

 新型コロナウイルスの感染拡大が収束しない中、花粉シーズンが到来した。静岡県内ではスギ花粉が飛び始め、飛散量は3月上旬ごろにピーク期を迎える見込み。くしゃみなどの花粉症の症状が新型コロナの感染拡大につながる恐れも指摘され、耳鼻科医は「症状が強く出る前の早期治療が例年以上に重要」と強調する。
 「新型コロナは嗅覚障害が出ると聞いた。花粉症で鼻がつまっている状態は避けようと意識し、今年は症状が出ないうちに対策を始めた」。花粉が飛散するとくしゃみや鼻づまり、目のかゆみがひどくなるという静岡市葵区の主婦式守陽子さんは2月に入り、かかりつけ医から飲み薬や点鼻薬、目薬を処方してもらい症状軽減に努めている。
 県医師会理事で志太ENTクリニック森耳鼻咽喉科(藤枝市)の森泰雄院長は「花粉症は徐々に嗅覚が低下するが、新型コロナは急に嗅覚障害が出て短期間で治る傾向がある」と違いを分析。ただ、発熱や倦怠(けんたい)感など似た症状も多く「見分けるのは困難。自己判断で新型コロナの感染判明が遅れる恐れもあるので医療機関に相談を」と呼び掛ける。
 花粉症になるとマスクを外してはなをかんだり、ウイルスが付着している可能性のある指で目や鼻を触ったりしがちになる。無症状の感染者がくしゃみの飛沫(ひまつ)でウイルスを広げるケースも考えられ、森院長は「例年花粉症の症状が出る人は早期受診で抑え込みを意識して」と訴える。外出時のマスク着用や帰宅時の手洗いうがいなどコロナ予防は「花粉症の重症化予防にも一定の効果がある」と言う。


 

無花粉スギ開発、県内でも進む 18年に優良品種全国初認定

※2018年3月6日 静岡新聞朝刊から

国の優良品種に認定された無花粉スギの挿し木苗=浜松市浜北区(現・浜名区)の静岡県森林・林業研究センター
国の優良品種に認定された無花粉スギの挿し木苗=浜松市浜北区(現・浜名区)の静岡県森林・林業研究センター

 雄花をつけるが中に花粉がない「無花粉スギ」を静岡県森林・林業研究センター(浜松市浜北区=現・浜名区=)が開発し、このほど、国の優良品種に認定された。無花粉スギの開発は富山県や神奈川県なども進める中で、優良品種認定は全国初。花粉症対策と造林の両立につながるという。
 同センターは、親の持つ形質が子や孫に規則性を持って伝わる「メンデルの遺伝法則」を応用。母樹に県産スギ「大井7号」、花粉親に神奈川県産スギ「中4号」を使った。両スギとも花粉はつけるが、形質には現れない「劣性遺伝子」の無花粉遺伝子を持つ。交配してできた無花粉スギを「静神不稔(しずかみふねん)1号」と名付けた。
 国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所林木育種センターから、成長量や強度、発根性も評価され、2月に同認定を受けた。
 無花粉スギでも挿し木増殖はできるため、今後は静岡県山林育種苗協働組合連合会とも共同研究し、市場出荷を目指す。県森林・林業研究センターの袴田哲司上席研究員は「スギは林業に欠かせないが、無花粉スギで造林すれば多くの人が悩む花粉症対策に役立つ」と話す。


 

目のかゆみや炎症抑える目薬 点眼のポイントは【専門家が解説】

 目薬(点眼薬)は、緑内障や白内障の治療をはじめ、花粉症の季節には目のかゆみを和らげ、炎症を抑えるために使われています。とてもなじみのある薬ですが、皆さんは正しく使えていますか。

 点眼液を使う前にまず、手をせっけんと流水でよく洗います。下まぶたを軽く下にひき、1滴を確実に点眼します。この時、容器の先がまぶたやまつげ、目に触れないよう注意してください。点眼後は、まばたきせずにまぶたを閉じ、あふれた薬液を清潔なガーゼやティッシュペーパーで軽く拭き取ってください。そのまま1~5分ほどまぶたを閉じるか、涙のう部(目頭のやや鼻より)を指先で軽く押さえてください。
 使い終わったらしっかりキャップを閉め、投薬袋などに入れましょう。直射日光は避け、なるべく涼しい、子どもの手の届かない場所に清潔に保管してください。
 容器には、開封前の使用期限が記載されています。開封後は1カ月を目安として使用し、残った薬液は保管せずに廃棄してください。薬液の中に異物や濁りなどが認められた時は、1カ月以内であっても使用を中止してください。
 指示された用法、用量は正しく守りましょう。液体の中に固体の微粒子が分散した懸濁性点眼薬は、よく振ってから使いましょう。2種類以上の点眼薬を使うときは、5分以上の間隔を空けましょう。抗生物質の点眼薬の中には、冷所に遮光保存し、7日以内に使用するものもあります。期限を越えて使用した場合、期待される効果が得られない可能性があります。
 コンタクトレンズ装着中の点眼や、使用中に気になる症状が現れた場合は、医師または薬剤師に相談してください。また、点眼液とよく似た容器に入った薬があります。それらの容器には、「目には入れないこと」と赤字で書かれています。誤って点眼しないよう注意してください。
 (伊藤邦彦・静岡県薬剤師会常務理事、静岡県立大薬学部教授)
〈2023.04.25 あなたの静岡新聞〉
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