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演歌の女王・八代亜紀さん死去 静岡県内でも美声響かせる

 歌手の八代亜紀さんが、2023年12月30日に死去していたことがわかりました。73歳。17年には「超ドSフェスタしずおか」、翌18年には「ハママツ・ジャズ・ウィーク」に出演するなど、静岡にゆかりのある歌手でした。県内での活動を振り返ります。

ヒット曲に「舟唄」「雨の慕情」

 「舟唄」「雨の慕情」などのヒット曲で知られ、艶っぽくハスキーな歌声で「演歌の女王」と呼ばれた歌手の八代亜紀(やしろ・あき)さんが昨年12月30日、急速進行性間質性肺炎のため死去した。73歳。熊本県出身。葬儀は関係者で行った。後日、お別れの会を開く予定。

八代亜紀さん
八代亜紀さん
 同9月、膠原病と診断されたことを公表し、活動を休止して療養を続けていた。
 1971年に「愛は死んでも」でデビューした。73年に「なみだ恋」が大ヒットを記録。79年の「舟唄」で人気を不動のものとした。80年には「雨の慕情」で日本レコード大賞を受賞した。
 「おんな港町」「愛の終着駅」などヒット曲多数。ブルースやジャズなど幅広いジャンルを歌いこなした。
<2024.1.9>

駿府の夏、歌声一つ 超ドSフェスタしずおか

※2017年08月29日 静岡新聞夕刊から

コラボで会場を盛り上げる八代亜紀(右)とMayJ.
コラボで会場を盛り上げる八代亜紀(右)とMayJ.
 静岡市葵区の駿府城公園で18~20日に行われた「超ドSフェスタしずおか」(静岡新聞社・静岡放送主催、静岡市特別後援)。最終日のメインステージ「ONE LIVE」は、ステージ企画を担当した小室哲哉や西城秀樹ら8組が出演した。アーティスト同士の共演や静岡の歌の合唱も繰り広げ、18年ぶりに復活した夏祭りを舞台に、出演者と観客が歌声を一つにした。
 1部がスタートした昼前、トップバッターでステージに立ったのはSBSテレビでおなじみの朝倉さや。気さくなトークで会場に復唱を促し、夜まで続くライブのボルテージを上げた。強まる日差しの下、華原朋美は「I’m proud」などを熱唱。馬術留学の予定を報告し、充実の表情を見せた。
 ステージ脇には、出演者の名をあしらった8本ののぼり旗。観客はタオルやうちわを高く掲げ、次々に登場する出演者に声援を送った。
 2部に入ると、客席にとどまらない約7千人が、エリア内外からステージを見詰めた。夕方にはいっときの夕立に見舞われたが、八代亜紀とMayJ.のコラボがすぐさま雨雲を吹き飛ばした。
 過去最多出演を誇る西城が登場すると、ひときわ大きな歓声が上がった。脳梗塞の後遺症でいすに掛ける場面もあったが、「懐かしいね」と笑顔でマイクを握った。高揚感に包まれた会場で、Every Little Thingは涼風のように爽やかな歌声を届けた。
 サーチライトが夜空を照らす中、テクノサウンドと共に小室がステージ上へ。井上苑子と「恋しさとせつなさと心強さと」、八代と「DEPARTURES」などを共演し、ライブの熱気は最高潮に達した。客席では掛け声やジャンプなど精いっぱいのアピールが続いた。
 「古里に帰ってきた感じ」という小室が作った静岡の歌「ONE LOVE」は、ステージに並んだ出演者が合唱。アンコールは西城を中心に歌った「YOUNG MAN」で会場が一体となり、盛大にフィナーレを飾った。

“演歌の女王”原点はジャズ ヒット曲アレンジも

※2018年09月18日 静岡新聞夕刊から

「若いアーティストたちと同じ舞台に立てるのも楽しみ」と語る八代亜紀=静岡市駿河区登呂の静岡新聞放送会館
「若いアーティストたちと同じ舞台に立てるのも楽しみ」と語る八代亜紀=静岡市駿河区登呂の静岡新聞放送会館
 浜松市の中心部をジャズで彩る「第27回ハママツ・ジャズ・ウィーク」(同市、市文化振興財団、ヤマハ、静岡新聞社・静岡放送など主催)。最終日10月28日のヤマハジャズフェスティバルに出演する歌手の八代亜紀が静岡市駿河区の静岡新聞放送会館を訪れた。「歌手としての原点はジャズ」と“演歌の女王”がジャズへの思いを語った。
 演歌歌手としての地位を確固とする八代だが、歌の楽しさを知るきっかけは、ジャズだったという。「12歳の時、父が買ってきたジュリー・ロンドンのLPを聴いて、リズムのかっこよさを知った」。彼女がハスキーボイスで歌う「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」に魅せられ、自身の声を重ねるうち、「歌手になりたい」との思いが募った。
 15歳で上京し、デビュー前は銀座のクラブで歌った。「歌謡曲だけでなく、ジャズやシャンソン、カンツォーネまで何でも。だから、ジャズを歌うのは自分では自然なこと」と感じる。2017年、静岡市で開かれた「超ドSフェスタしずおか」では小室哲哉らと共演するなど、近年の幅広い活動の原点は、ジャンルを問わずに歌った10代にあった。
 転機は1997年、北村英治、世良譲、ジョージ川口、水橋孝といった重鎮たちと共演したコンサート。大物ジャズマンの間に自然と溶け込む八代の“ジャズシンガー”としての魅力に多くの人が気付いた。2012年には、小西康陽のプロデュースで初のジャズ作品「夜のアルバム」を、17年には続編「夜のつづき」もリリースした。「『八代亜紀が歌っているなら、聴いてみようか』と思ってくれる人がいたら。ジャズを敷居高く感じている人にとって、入り口になればうれしい」と語る。
 今回のステージでは、スタンダードナンバーを中心に、ジャズアレンジした自身のヒット曲も披露する予定だ。「経験を重ねた今の声がジャズにぴったり合う。もちろん、演歌にもね」と、いたずらっぽく笑った。

ハママツ・ジャズ・ウィーク 一流音楽家の競演 魅了

※2018年10月29日 静岡新聞朝刊から

聴衆の前で熱唱する八代亜紀さん=浜松市中区のアクトシティ浜松
聴衆の前で熱唱する八代亜紀さん=浜松市中区のアクトシティ浜松
 「ハママツ・ジャズ・ウィーク」(浜松市、市文化振興財団、ヤマハ、静岡新聞社・静岡放送など主催)は最終日の28日、メイン企画「ヤマハ・ジャズ・フェスティバル」を同市中区のアクトシティ浜松で開いた。国内外の一流歌手やバンドが圧巻のパフォーマンスで聴衆約2100人を魅了し、9日間にわたるイベントのフィナーレを飾った。

 ステージは3部構成。世界的なジャズピアノコンテストで日本人初のグランプリ獲得歴があるピアニスト大林武司さんは、ベースやドラムと息の合った音色を響かせた。歌手の八代亜紀さんはジャズの定番曲の他、ジャズ調にアレンジした自身の代表曲「舟唄」などで会場を沸かせた。スウェーデンの「ボーヒュスレーン・ビッグバンド」はジャズボーカリストでフリューゲルホルン奏者のTOKUさんと共にフランク・シナトラの名曲を情感たっぷりに披露した。
 JR浜松駅周辺では「ストリート・ジャズ・フェスティバル」も開催。県内外の約60組が熱のこもった演奏で、街中を盛り上げた。
地域再生大賞