知っとこ 旬な話題を深堀り、分かりやすく。静岡の今がよく見えてきます

浜松と湖西にイオン続々開業へ 小売り競争激化必至、出店情報まとめ

 秋以降、静岡県浜松市と湖西市にイオングループのショッピングセンターが次々と開業を予定しています。浜松市内は、コストコや地場のドラッグストアもひしめく小売り激戦区。今後ますます競争が激化するとみられます。イオンがこのエリアに注目する理由は何でしょうか。イオンの出店に関する最新の話題をまとめます。

「人口増が望める注目エリア」イオンの顧客囲い込み戦略に業界も注目 「スマートタウンとして人口増が望める」

 小売り大手のイオングループが静岡県西部の浜松、湖西市に相次いでショッピングセンター(SC)を出店している。4月に湖西市に「イオンタウン湖西新居」を開業。浜松市内には10月28日に「そよら浜松西伊場」をオープンし、周辺の大通り沿い約5キロの間には「イオンモール浜松志都呂」「イオン浜松西」と三つのSCが集中することに。同市南区にも来春、「イオンタウン浜松新橋」を開業予定で、出店攻勢を図る。特にコストコや地場のドラッグストアがひしめく浜松市内は競争激化が必至とみられ、イオンの顧客囲い込み戦略の行方に業界の視線が集まる。

28日の開業に向けて工事が進むそよら浜松西伊場=10月6日、浜松市中区
28日の開業に向けて工事が進むそよら浜松西伊場=10月6日、浜松市中区
 そよら浜松西伊場はイオングループが「都市型」と位置付けるSC。短時間で買い物ができるコンパクトな店づくりと、カフェやイベントスペースで楽しむ「時間消費」を両立させるコンセプトで、そよらブランドは県内初出店になる。
 市内は、東区のイオンモール浜松市野などを併せて来春には六つものSCが営業することになる。
 イオンリテール東海カンパニーの石河康明支社長はそよら浜松西伊場の出店理由について「スマートタウンとして人口増が望める注目エリア」と明かし、「三重県や名古屋市と同様に、浜松市周辺もニーズに合わせ各SCですみ分ける」と説明する。「そよら」は周辺で建設が進む住宅やマンション居住者の需要を見込んで車で5分圏内、イオン浜松西はシニア層が多い住宅街などをターゲットにし、イオンモール浜松志都呂は子ども向けコーナーの充実を図っているという。
 市中心部の中区には昨年9月、愛知県を中心に展開する低価格路線のスーパー「カネスエ」が県内初出店し、今年7月には北区に2店目をオープンしたばかり。福岡市に拠点を置くドラッグストアコスモスなども浜松市内に続々と出店し、競争はますます激化している。
 浜松発祥のドラッグストアの杏林堂薬局なども地元で出店攻勢をかけており、地元資本の静岡県西部の小売り関係者は「一帯は明らかにオーバーストア(店舗過剰)の状況。将来を見据えた出店各社によるシェアの奪い合いが激しくなっている」と話す。
 (浜松総局・白本俊樹)
〈2023.10.9 あなたの静岡新聞〉

大通り沿い5キロ 3つのショッピングセンターが集中

浜松、湖西市内のイオングループのSC
浜松、湖西市内のイオングループのSC

マンション建設進む注目エリアに「そよら浜松西伊場」 30~40代向け中心

 イオングループのイオンリテール(千葉市)は9月1日、浜松市中区西伊場町の日本たばこ産業(JT)浜松工場跡地に建設中のショッピングセンター(SC)「そよら浜松西伊場」を10月28日にオープンすると発表した。総合スーパーのイオンスタイルを核店舗に、ユニクロ、スターバックスなど専門店10店が入る。

そよら浜松西伊場のイメージ
そよら浜松西伊場のイメージ
 専門店はほかに眼鏡のジンズ、ダイソーなどがオープンし、今冬にファストフードの「バーガーキング」、子ども向け遊戯施設「ちきゅうのにわ ぽっぷ」が開店予定。来春にはホームセンターのコーナンがオープンする。
 イオンスタイル浜松西伊場は、30~40代向けを中心に食品や健康・医療用品を充実させる。地元の野菜や水産物を豊富にそろえ、ふぞろいや傷のある農産物を集めたコーナーも設置する。
 そよら浜松西伊場は、複数の建物が並ぶオープンモール型で延べ床面積は約1万9千平方メートル。屋上に太陽光パネルを設置し、足りない分は二酸化炭素フリー電気で賄う。浜松市内で回収した海洋プラスチックごみを一部使った買い物かごを置くほか、電子レシートに対応し、環境負荷の低減に取り組む。
(浜松総局・白本俊樹)
〈2023.10.9 あなたの静岡新聞〉
 

浜松市南区には24年春、イオンタウン浜松新橋も

 イオンタウン(千葉市)は7月30日、浜松市南区で来春オープンするショッピングセンター(SC)「イオンタウン浜松新橋(にっぱし)」の起工式を行った。マックスバリュ東海を核テナントに13店舗が入る。

2024年春オープンするイオンタウン浜松新橋のイメージ
2024年春オープンするイオンタウン浜松新橋のイメージ
 鉄骨造り平屋建てで、延べ床面積は約5359平方メートル。浜松市中心部から南西に約3・5キロの住宅地や工場が立ち並ぶ場所に建設する。駐車台数193台。イオンタウンが全国展開する、スーパーなど複数店舗が集積する近隣型SCに位置づける。
 起工式には同社の加藤久誠社長、マックスバリュ東海の作道政昭社長らが参列した。加藤社長は「静岡県は重点エリア。地域の皆さまから受け入れられ、活力ある暮らしをサポートできる場となれるよう取り組む」と語った。
 イオンタウンは全国に155店舗を展開。静岡県内の出店は、4月に開業したイオンタウン湖西新居(湖西市)に続き、浜松新橋が10店舗目になる。建設予定地はかつて工場が立地していたが、2017年の解体後は未利用地になっていた。
(浜松総局・大山雄一郎)
〈2023.7.1 あなたの静岡新聞〉
地域再生大賞