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「のっぽパン」 沼津発、静岡県民のソウルフードへ

 「のっぽパン」として静岡県内で広く知られる菓子パン「のっぽ」。10月、沼津市に直売所がオープンして当日作られたものや限定品の販売も始まりました。これまで、地元・沼津を舞台にした人気アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」とコラボしたり、静岡県の特産品を使った味を発売したりするなど、地域密着型の商品開発を行ってきました。1ページで振り返ります。

訳あり洋菓子と「のっぽパン」 沼津で直売所オープン 当日製造や限定品も

 ご当地パン「のっぽパン」を製造販売するバンデロール(沼津市)は3日、同市西島町の西島工場敷地内に直売所をオープンした。工場でできた訳ありの洋菓子や、当日作ったのっぽパンなどを販売する。

訳ありの洋菓子や、のっぽパンを販売する工場直売所=沼津市西島町
訳ありの洋菓子や、のっぽパンを販売する工場直売所=沼津市西島町
 焼きむらがあったり、形が崩れたりしたチーズケーキやアップルパイ、マドレーヌなどを直営店販売価格より安く販売する。味は正規品と変わらない。これまでは廃棄していたが、食品ロスを減らそうと直売所開店を決めた。
 のっぽパンを作った日に購入できるのは同直売所だけ。定番6種類に加え、直売所限定の「しぞーかおでんのっぽ」、イベントのみで扱う限定品数種類を扱う。外商部の冨田正昭さん(51)は「のっぽパンの聖地、沼津の新名所にしたい」と話す。
 営業時間は午前11時から午後5時。月曜定休。毎月第1、第3日曜の工場直売市は引き続き開催する。
 〈2023.10.04 あなたの静岡新聞〉
 

長~~く愛され40年 “静岡の顔”へ 県外ファン拡大に意欲

 ※​2018年5月22日静岡新聞朝刊より

発売40周年の「のっぽ」=5月上旬、沼津市のバンデロール
発売40周年の「のっぽ」=5月上旬、沼津市のバンデロール
 通称「のっぽパン」として県内で広く知られる菓子パン「のっぽ」がことし、発売から40年を迎えた。これまでの販売総数は約2億本。製造販売のバンデロール(沼津市)は地域密着型の商品開発で、“静岡発ブランド”のさらなる認知度向上を図る。
 (東部総局・橋爪充)
 のっぽは長さ34センチのパンにさまざまな味のクリームを挟んだ菓子パン。これまでにリンゴ、ミカン、抹茶、黒ごまなど多種多様な約100種を発売した。現在のラインアップは7種。
 商品の責任者、林幹人外商部長(45)は「パンの材料の配合や作り方は、40年前から変わっていない」と話す。近年は県東部の事業者らとの協業が多く、函南町の牛乳を使った「丹那牛乳のっぽ」は予想以上の人気を集めたため定番化した。沼津市が舞台のアニメ「ラブライブ!サンシャイン?」の登場人物を起用した「塩キャラメル味」は、2016年9月から17年12月までに約30万本を売り上げた。
 40年の歩みは順風満帆ではなかった。07年、当時の製造販売元だったエヌビーエスの事業再編を理由に発売が途絶えた。市民からの500件を上回る復活要望を受け、グループ会社のバンデロールが08年に製造販売を再開した。
 課題は月産12万本が上限の製造体制。発売中止前は別工場に自動で焼く専用機器があり、1日に5万本出荷したこともあった。現在は2台のオーブンを使い、手作業でパンを出し入れしている。
 製造後3日という賞味期限の短さもネック。同社は40周年を機に、ラスクの商品化に踏み出した。焼き菓子の投入も検討する。
 林部長は「静岡のご当地パンとして知名度を広げたい」と話し、県内の需要拡大とともに、県外ファンの拡大へ意欲をみせた。今後は県外での催事販売にも力を入れるという。

 <メモ> のっぽは1978年にヌマヅベーカリー(沼津市、99年にエヌビーエスへ社名変更)が、ふ菓子「さくら棒」にヒントを得て製造を開始した。当時は直営店のほか、県内スーパーや駄菓子店で販売していた。現在はJR駅売店やスーパーなど県内約300カ所で扱う。

地域の特産物を活用した「のっぽパン」も 

 三島市立佐野小の1、2年生と伊豆佐野保育園の園児が31日、同校に隣接する畑で特産のサツマイモ「三島甘藷(かんしょ)」の収穫を体験した。サツマイモは1日から期間限定で発売されるバンデロール(沼津市)のロングセラー商品「のっぽパン」にも使われる。

三島甘藷の収穫に取り組む児童や園児=三島市佐野
三島甘藷の収穫に取り組む児童や園児=三島市佐野
 児童が6月につるさしを行った3列の畝に並び、土を少しずつ崩しながら芋掘りに挑戦した。自分の顔よりも大きなサツマイモが出てくると「おっきい!」「何これ!」と歓声を上げ、夢中になって取り組んだ。サツマイモは各家庭で持ち帰って味わうほか、おやつ作りでイモ蒸しパンの材料にもなるという。
 のっぽパンはペースト状にしたサツマイモのクリームをパンに挟み、12月までの期間限定で発売する。月に2万本の販売を見込んでいる。
 〈2022.11.1 あなたの静岡新聞〉

沼津が舞台のアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」ともコラボ

 ※2021年6月1日 静岡新聞朝刊より

ラブライブ!サンシャイン!!とのコラボ第5弾となる「のっぽ」=沼津市西島町のパン製造販売バンデロール
ラブライブ!サンシャイン!!とのコラボ第5弾となる「のっぽ」=沼津市西島町のパン製造販売バンデロール
 沼津市西島町のパン製造販売バンデロールは1日、菓子パン「のっぽ」と同市を舞台にしたアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」がコラボした「プリンのっぽ」の販売を開始する。
 2016年に始まったコラボシリーズの第5弾。シリーズ累計80万本を突破している。コロナ禍で打撃を受けている地元の産業を応援しようと「地元愛」をテーマに据えた。
 クリームはカラメルソースをかけた牛乳プリンをイメージした。材料は武井牧場(同市西熊堂)の牛乳を使い、なめらかな舌触りに仕上げたという。
 パッケージは作中の主人公グループ「Aqours(アクア)」のメンバー9人が、結成5周年記念シングルの衣装をまとった姿を描いた。担当者は「地元の企業を支える商品にしたい。(コロナ収束後に)ファンが訪れるきっかけになれば」と話している。
 パンは県内の直営店やスーパー、駅売店などで販売する。1本160円。
地域再生大賞