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23年度全国学力テスト 静岡県内の結果は

 小学6年、中学3年生対象に、4月に行われた2023年度全国学力テストの結果が公表されました。静岡県内の小学6年の算数は4回連続で全国平均を下回り、課題が浮き彫りとなりました。県内の正答率や得意、不得意科目は何だったでしょうか。表を用いてまとめました。

中3、全3教科で全国平均上回る 小6は国語、算数共やや下回る

 文部科学省は7月31日、小学6年と中学3年を対象として4月に実施した2023年度全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果を公表した。政令市を含む静岡県内公立校の中3は国語、数学、英語の3教科全てで全国平均を上回った。小6は国語、算数共にやや下回った。

2023年度全国学力テストの静岡県結果
2023年度全国学力テストの静岡県結果
 中3は3教科で0・8~1・3ポイント、全国平均より高かった。学習指導要領の内容別で見ると、英語の「聞くこと」を除く全てで全国の平均正答率と同じか高かった。一部の学校でオンラインを活用して行われた英語の「話す」分野は都道府県別の結果を公表していない。
 小6は国語が0・2ポイント、算数は0・8ポイントいずれも全国平均に届かなかった。国語は複数の情報を関連づけて考える問題などの正答率が低かった。算数は特に「図形」「変化と関係」の領域で課題が見られた。記述式の問題の正答率も低かった。県教委は「結果を分析し、問題から求められる資質や能力を伸ばせるよう授業を改善していく」としている。
 県内の実施人数は小6が486校2万8889人、中3が263校2万6493人。

英語「話す」正答率12%どまり 中3全国平均

 文部科学省が31日結果を公表した全国学力テストで、4年ぶり実施の中3英語は4技能のうち「話す」の全国平均正答率(国公私立)が12・4%にとどまり、前回より18・4ポイント下がった。「読む・聞く・書く」の3技能は46・1%で、前回比10・4ポイント低下した。
 21年度から実施されている中学の学習指導要領は、英語で互いの考えを伝え合う言語活動を重視し、出題に反映された。文科省は「テストが難しかった。生徒の英語力が低下したとは判断できない」と説明。「話す」で一つも正答できない生徒が6割を超え、専門家には、指導要領が高度すぎるとの指摘や作問が適切ではなかったとの見方がある。
 「話す」の出題では、留学生と動物園を訪れた設定で「カンガルーについて疑問があれば私に尋ねて」などと話しかけられ、英語で7~20秒での返答が求められた。ポリ袋に関連した環境保護が題材の動画を視聴し、英語で意見を述べる設問もあった。全5問で約500校を抽出して成績を集計し、文科省は推計値として扱った。「話す」以外は全員分を集計した。
 毎年実施する他教科の正答率は小6が国語67・4%、算数62・7%。中3が国語70・1%、数学51・4%。例年と同じく、複数の資料を読み解いて答えたり、意見を書いたりする問題が苦手な傾向が出た。国数の都道府県別正答率(公立)は、秋田、東京、石川、福井などが上位だった。
 英語は、3技能のうち「読む・聞く」は正答率が50%を超えたが、「書く」は24・1%と低調。文章の要点を捉えて自分の意見やその理由を記述する設問では、正答率が20・1%にとどまった。「話す」はデジタル端末で動画を見る形式。5問のうち正答率が4・2%の設問もあった。
 文科省は英語3技能の都道府県別正答率なども公表。東京や神奈川、愛知といった大都市圏が上位に目立った。

(教育文化部・鈴木明芽)
〈2023.8.1 あなたの静岡新聞〉

 

小6算数、苦手浮き彫り 「図形」と「変化と関係」

 全国学力テストの県内小学6年の算数は、テストの問題形式が変わった2019年度以降、4回連続(20年度は新型コロナのため中止)で全国平均を下回った。全国平均正答率と比べて本県が特に低いのは「図形」と「変化と関係」の領域で、課題が浮き彫りとなっている。

全国学力テスト小6算数 静岡県の平均正答率(カッコ内は全国平均との差)
全国学力テスト小6算数 静岡県の平均正答率(カッコ内は全国平均との差)
 「図形」は、図形の性質や面積の求め方を学ぶ領域。本年度は、正三角形を作るためにテープをどの角度で切るのが適切か尋ねる問題などが出題された。
 「変化と関係」は、変化する二つの数量について、その規則性から求めたい数量を導いたり、百分率の割合を理解したりする領域。本年度は、椅子4脚の重さが7キロであることを基に、48脚の重さを求める問題などが出た。
 県教委によると、本県の平均正答率の全国との差は「図形」が本年度がマイナス1・3ポイント、22、21年度がいずれもマイナス1・5ポイント。「変化と関係」は本年度がマイナス1・0ポイント、22年度はマイナス0・9ポイント、21年度はマイナス1・5ポイント。他の領域と比べ毎年、差が大きいのが特徴だ。
 県教委義務教育課は、小学校は国語・算数とも全国平均を下回ったものの差は小さく、中学校は例年全教科で全国平均を上回っていることから「義務教育9年間を通した確かな学力育成の取り組みは進められている」との見方を示す。
 小学校算数で毎年同じ領域が低迷していることについては、県教委の「分析会」や、各市町教委の指導主事が集まる「学力向上連絡協議会」などで課題を共有して「生活と結びつけた教え方など、学び手視点の授業づくりを改めて呼びかけたい」としている。

(教育文化部・鈴木明芽)
〈2023.8.1 あなたの静岡新聞〉

静岡市の中3 全教科で全国平均上回る

 静岡市教委は31日、4月に小学6年生と中学3年生を対象に実施した「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)について、静岡市分の調査結果を発表した。中学生は国数英の3科目全てで全国平均正答率を上回り、小学生は国語算数の全2科目で全国平均正答率と同等の結果を残した。

2023年度全国学力テスト 静岡市平均正答率(%)
2023年度全国学力テスト 静岡市平均正答率(%)
 各科目の平均正答率(小数点以下を四捨五入した整数値で文部科学省が市に提供)はそれぞれ小6国語67%、算数63%、中3国語72%、数学54%、英語48%だった。同時にアンケート式で行われた小中学校に対する学習状況調査では、小中一貫教育に関する「近隣校と教育課程に関する共通の取り組みを実施したか」という設問で、肯定的な回答の割合が全国結果を大きく上回った。
 本年度、同市で調査が実施されたのは小学81校、児童5080人と、中学42校、生徒4329人。このほかに小学2校中学1校が調査対象だったが、6年生の不在や3年生の欠席などがあり実施しなかった。

(清水支局・マコーリー碧水)
〈2023.8.1 あなたの静岡新聞〉
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