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卓球・静岡ジェード 8月5日、いよいよTリーグ開幕戦

 「卓球で静岡を活性化しよう」をスローガンとして掲げる静岡ジェードが8月5日、Tリーグ初戦を迎えます。2024年2月までレギュラーシーズン20試合を戦い、6チーム中上位3チームが3月のプレーオフに進みます。個人の世界ランキング最高21位(2018年5月)にもなった森薗政崇監督兼選手のほか、7人が加入し優勝に向かって突き進む静岡ジェード。どんなチームなのかまとめました。(荻野旦)

静岡ジェード どんなチーム?

 静岡市北部の中山間地「オクシズ」を拠点に来季から卓球Tリーグに参戦する男子チームのチーム名が2月1日、「静岡ジェード」に決まった。同市の鳥「カワセミ」がモチーフで、一般公募・投票により決定した。県庁で会見した運営会社「静岡オクシズUU」の河村水稀代表は「カワセミのように鋭く羽ばたいていくイメージ。静岡の代表に恥じないチーム運営をしていきたい」と意気込んだ。

チーム名「静岡ジェード」を発表する河村代表=静岡県庁
チーム名「静岡ジェード」を発表する河村代表=静岡県庁
 チーム名はカワセミの漢字表記でもある宝石「翡翠(ひすい)」の英訳「jade(ジェイド)」が由来。石言葉を基に「繁栄、長寿、幸福」などの願いが込められている。500件超の応募の中から選ばれた五つの最終候補に約1000票の一般投票があり、僅差で決定した。
 チームカラーはオレンジと淡い緑色。特にサッカーJ2清水、バスケットボールB2静岡と同じオレンジには、「スポーツを一緒に盛り上げ、静岡をオレンジに染めたい」(河村代表)との狙いがある。今後は4月をめどにユニホームや選手・スタッフを随時発表していくという。(運動部・山本一真)
 〈2023.2.2 あなたの静岡新聞〉

所属選手(加入順に掲載。年齢は2023年8月3日時点)

森薗政崇(28)

選手兼監督を務める森薗政崇
選手兼監督を務める森薗政崇
 2023年4月、リーグ発足から5シーズン所属した岡山リベッツを退団。リーグにはこれまでコーチ兼任でプレーした選手はいるが、監督兼任は前例がなく、新規参入する静岡で新たな挑戦に臨む。
 左シェークハンドの森薗はダブルスを得意とし、大島祐哉とのペアで17年世界選手権準優勝。世界ランク1位の経験もある。全日本選手権は伊藤美誠(スターツ、磐田市出身)との混合ダブルスを18年から3連覇し、今年は男子ダブルスを制した。静岡ではシングルス、ダブルスとも出場する見通し。

松下大星(26)  
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初の日本代表としてアジア大会に臨む静岡ジェードの松下大星

 国内では希少なペンハンドの使い手で「ペンドラの星」とも称される26歳。今秋のアジア大会代表。
 父雄二さん、母智子さんも世界選手権の出場経験がある元日本代表。雄二さんはもともとペンホルダーだが、松下はシェークハンドで卓球を始めた。ただ、「気付いた時にはペンになっていた」という。多彩なサーブに加え、繊細なボールタッチを生かした台上技術がペンの魅力。シェーク全盛期にあって「子どもたちにペンの面白さを伝えたい」と意気込んでいる。

横谷晟(21)
 22年世界選手権団体3位で身体能力に優れる。

龍崎東寅(24)
 岡山リベッツから加入。ラリーに強い。右シェークハンドで全日本選手権は2021年にシングルス8強、今年はダブルス3位。

坂井雄飛(16)
 愛工大名電高から加入。左シェークハンドで、今年の全日本選手権ジュニア男子シングルス3位などの実績がある。

三木隼(17)
 山口・野田学園高から加入。左シェークハンドで昨夏の全国高校総体シングルス3位、今春の全国高校選抜は団体で優勝した。

松山祐季(25)
 琉球から加入。右シェークハンドで、男子ダブルスは2019年全日本選手権準優勝、21、22年は全日本社会人を連覇した。

小西海偉(42)
 世界選手権で2度の団体銅メダルを獲得。中国出身の右ペンハンドで、世界ランクは最高20位。旧姓は吉田で、青森山田高時代に全国高校総体シングルスを3連覇し、全日本選手権連覇の経験もある。昨季はポーランドのスーパーリーグでプレー。
 「42歳になってやっとTリーグに参戦できてうれしい。静岡のために全力で頑張る」とコメント。(運動部・山本一真)
〈2023.4.28〜6.27 あなたの静岡新聞〉

旧足久保小を活動拠点に

 静岡市の3区(葵、駿河、清水)と足久保学区の各自治会連合会は3月14日、来季から卓球Tリーグに参戦する「静岡ジェード」が旧足久保小校舎を活動拠点として使用できるよう支援を求める要望書を市に提出した。各連合会長が市役所で田辺信宏前市長に手渡した。

田辺市長に要望書を手渡す葵区自治会連合会の中村会長(中央)ら=静岡市役所
田辺市長に要望書を手渡す葵区自治会連合会の中村会長(中央)ら=静岡市役所
 足久保小は2022年度から市立美和中構内に移転し、空き校舎になっている。同市北部の中山間地オクシズを拠点に地域密着型チームの運営を掲げる静岡オクシズUUと市はこれまで、体育館などの利用について協議を重ねてきた。
 要望書はチームが同校舎を拠点に社会貢献にも取り組む意向であり、活動がオクシズの活性化につながることを踏まえ、使用に「特段の配慮」を求めた。葵区自治会連合会の中村満会長は「廃校舎の活用は3区共通の課題で、いい事例になる。賃借料や(将来の)売却についても実現可能な金額になるようお願いしたい」と話した。
 田辺前市長は「3区が連携した要望は重く受け止め、特段の配慮をしていきたい。すでに準備は完了し、4月から使えるめどはついている」と答えた。(運動部・山本一真)
 〈2023.3.15 あなたの静岡新聞〉
 

認知症ケア施設での地域活動

 卓球Tリーグ男子に今季から参戦する静岡ジェードは6月4日、静岡市葵区の認知症ケア推進センター「かけこまち七間町」で卓球教室を行った。

歓声を上げ盛り上がった卓球教室=静岡市葵区の「かけこまち七間町」
歓声を上げ盛り上がった卓球教室=静岡市葵区の「かけこまち七間町」
 午前と午後の2部に分け、高齢者を中心にそれぞれ約10人が参加した。講師を務めた森薗政崇監督兼選手とのラリーを楽しんだり、プロのスピードを体感したりした。音の鳴るボールをラケットで打って転がし、卓球台の両端に置いたゴールを狙うゲームも行い、歓声が上がるほどの盛り上がりを見せた。
 参加した同区の大原美千代さん(72)は子どものころ学校のレクリエーションで卓球を楽しんでいたといい、「ラケットの当て方など少しずつ教えてもらって昔の感覚が戻り、気持ちよく打てた」と笑顔で話した。
 森薗選手は「体を動かし交流することで気持ちも上向いたのでは」と振り返り、今後も県内各地で同様の教室を開いていきたいと意欲を見せた。(社会部・大村花)
 〈2023.6.6 あなたの静岡新聞〉
地域再生大賞