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「駿河屋」のエーツー、静岡マルイ跡に進出 ホビーのまち発信へ旗艦店

 ホビー商材販売の「駿河屋」を運営するエーツーが、2021年3月に閉店した静岡市葵区の大型商業施設「静岡マルイ」の土地と建物を取得しました。本社兼旗艦店として活用し、国内外のホビーファンに向けた店づくりを目指す方針です。どんな店になるのでしょうか。現在分かっている情報をまとめました。

マルイ跡に進出 「駿河屋」本社兼旗艦店 23年夏オープン目標

 2021年3月に閉店した静岡市中心市街地の大型商業施設「静岡マルイ」(同市葵区)の土地と建物を、ホビー商材販売の「駿河屋」を運営するエーツー(同市駿河区)が取得したことが27日までに、同社への取材で分かった。同市葵区の駿河屋静岡本店を移転、増床し、本社兼旗艦店として活用する。今夏オープンを目指す。

「駿河屋」を運営するエーツーによる取得が明らかになった旧静岡マルイ=27日午後、静岡市葵区
「駿河屋」を運営するエーツーによる取得が明らかになった旧静岡マルイ=27日午後、静岡市葵区
 同社は新店舗を中心街に構え、同市を訪れる国内外の観光客に「ホビーのまち静岡」を発信する方針。旧静岡マルイが立地した伝馬町・御幸町周辺は、現在も別の商業施設で経営危機が取りざたされるなど、集客力低下が懸念されていた。
 エーツーの杉山綱重社長は「ホビー商材販売店の規模としては国内最大級になる。若い世代を含むファンが集まる店に育て、静岡市中心街の活性化につなげたい」としている。
 同社が取得した建物は地上9階建て、延べ床面積約1万5800平方メートル。1~3階を店舗に改装し、各階でホビー関連書籍やプラモデル、ゲームソフト、トレーディングカードなどを扱う。売り場面積は、現静岡本店の約4倍になる見込み。24年8月期に売上高20億円を目指す。4~9階には市内に分散している本社機能を集約する。
 静岡マルイは1969年に「丸井静岡店」としてオープン。2016年に「静岡マルイ」に全館リニューアルし、若者を中心に人気を集めたが、競争激化や新型コロナウイルス禍の影響で21年3月に閉店した。隣接する丸井グループの商業施設「静岡モディ」は営業を継続している。
 〈2023.03.28 あなたの静岡新聞〉

国内外のホビーファン誘客へ 杉山綱重社長一問一答

 ホビー商材販売のエーツー(静岡市駿河区)は28日、2021年3月に閉店した同市葵区の大型商業施設「静岡マルイ」の土地と建物の取得を正式に発表した。同日までに取材に応じた杉山綱重社長(50)=同区出身=は、今夏に旧静岡マルイ跡に移転オープンする自社ブランド「駿河屋」の旗艦店で1日の来店客目標を5千人と設定し、訪日客の回復を見据えて国内外のホビーファンに向けた店づくりを目指す方針を示した。

杉山綱重氏
杉山綱重氏
 新店舗の売り場面積は、現在の駿河屋静岡本店(同区)の約4倍に拡張予定。杉山社長は「『ホビーのまち静岡』のショールームのような役割を持たせたい。静岡ホビーショーなどの大型イベントの時期だけでなく、常に街中でホビーを楽しめる雰囲気を演出したい」と述べた。
 今後、スポーツチームの応援イベントといった地域密着型の集客策も検討するといい、「来店客の回遊性を高めることで、周辺店舗を含む中心街全体の盛り上げにつなげたい」と意気込む。
 ホビー業界の現状を「巣ごもり需要の高まりで、プラモデルやトレーディングカードの市場が国内外で急拡大している」と分析。エーツーグループの22年8月期の連結売上高が約400億円と5年前から倍増した実績を踏まえ、「製造、販売、リユースの各事業を成長させ、3年以内に全都道府県への実店舗出店を目指す」と事業戦略を示した。

交流人口増加につなげたい 杉山綱重社長・一問一答
エーツーの杉山綱重社長の一問一答は次の通り。
 -静岡マルイ跡地取得の経緯は。
 「丸井グループとは2019年に実店舗や電子商取引(EC)の販売拡充を目的に資本業務提携を結び、東京都や福岡県、北海道などで実店舗を増やしてきた。コロナ禍の巣ごもり需要の影響でEC事業も順調で、静岡市駿河区の本社が手狭になってきていた中で、静岡マルイが閉店した。自社の知名度向上と中心街の活性化に向け、取得に手を挙げた」
 -中心街の現状をどう見るか。
 「旧静岡マルイの場所はJR静岡駅から静岡鉄道新静岡駅に向かう動線上の好立地。空き店舗のままというのは静岡の中心街全体にとって痛手。静岡のホビーは誘客力がある。われわれの力で中心街に人を呼び込み、ホビーの交流人口増加につなげたい」
 ―どんな店舗にしたいか。
 「駿河屋の知名度は台湾をはじめ、アジア圏でも高いと認識している。インバウンド(訪日客)が再開していく中で、世界的に人気が高い日本のアニメの関連グッズや、静岡の地場産業であるプラモデルの品ぞろえを強化していく。自作の模型を動かしてファン同士が交流できるスペースも設けたい」

 すぎやま・つなしげ ゲームショップ運営会社を経て、1998年にホビー商材販売のジーエックス創業。2003年に事業統合でエーツーに社名変更。50歳。
 〈2023.03.29 あなたの静岡新聞〉

「静岡マルイ」は2021年に閉店 コロナ禍で売り上げ低迷

 JR静岡駅北口近くの大型商業施設「静岡マルイ」(静岡市葵区)が28日(※2021年3月)、51年の歴史に幕を下ろす。中心市街地のにぎわいの一端を担ってきたが、駅前商業エリアの競争激化に加え、新型コロナウイルス感染拡大の影響による売り上げ低迷を背景に閉店を決めた。隣接する丸井グループの商業施設「静岡モディ」は、館内の充実を図り営業を継続する。

28日に閉店する静岡マルイ。静岡モディの1館体制になる=26日午前、静岡市葵区
28日に閉店する静岡マルイ。静岡モディの1館体制になる=26日午前、静岡市葵区
 「学生時代の思い出が詰まったお店。閉店はさみしい」。26日に来店した主婦(41)は閉店を惜しみつつ、買い物を楽しんだ。
 静岡マルイは1969年に「丸井静岡店」としてオープン。売り場を増設して95年にA、B館の2館体制にし、98年のピーク時の売り上げは150億円に上った。2016年には幅広い世代を呼び込もうと、A館を静岡マルイ、B館を静岡モディとして全館リニューアルし、若者を中心に集客を図ったが19年には売り上げが23億円にまで落ち込んでいた。
 最終日の28日は午後1時半と4時に、けやき通りでパレード「ライブエンターテインメントショー」を開催し、閉店する。
 伊藤哲朗店長は「地元に愛されてきたお店。感謝をしつつ、モディは再生していくので、今後も静岡のおまちを盛り上げていきたい」と語った。
 〈2021.03.27 静岡新聞朝刊〉
地域再生大賞