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哀悼 松本零士さん ディスカバリーパーク焼津との縁

 2月13日に85歳で死去した漫画家の松本零士さんは、2021年6月まで約24年間にわたってディスカバリーパーク焼津天文科学館(焼津市)の名誉館長を務めました。本人による講演や代表作「銀河鉄道999」の世界観を反映したプラネタリウムを上映したことも。松本零士さんとディスカバリーパーク焼津のつながりを紹介します。

代表作「銀河鉄道999」「宇宙戦艦ヤマト」 SF映画にも影響

 「銀河鉄道999」「宇宙戦艦ヤマト」で知られる漫画家の松本零士(まつもと・れいじ、本名晟=あきら)さんが13日午前11時、急性心不全のため東京都の病院で死去した。85歳。福岡県出身。告別式は近親者で行った。喪主は妻の漫画家牧美也子(まき・みやこ)さん。お別れの会を後日開催予定。

松本零士さん
松本零士さん
 スケールの大きなSF、戦争漫画を数多く手がけた。戦闘機などの詳細で独特な描写は海外のSF映画にも影響を与えたとされる。
 1954年、高校在学中に「蜜蜂の冒険」でデビュー。上京後、少女漫画などを描いた。71年に雑誌で連載を始めた「男おいどん」で、東京の若者の貧しい下宿生活を描いて人気を得た。同作品も含む「大四畳半シリーズ」は、ユニークなキャラクターが広く親しまれた。
 74年からテレビで放送されたアニメ「宇宙戦艦ヤマト」シリーズの企画に参加、漫画版を手がけ、その後のアニメブームのきっかけをつくった。宇宙への旅を叙情的に描いた代表作「銀河鉄道999」や「宇宙海賊キャプテンハーロック」もアニメ化され、さまざまな社会現象を起こした。
 日本宇宙少年団理事長、宝塚大特任教授、京都産業大客員教授などを歴任。漫画やアニメ以外の分野でも幅広く活躍し、地球環境や知的財産権などをめぐる積極的な発言でも知られた。
 2001年に紫綬褒章、10年旭日小綬章。12年フランス芸術文化勲章シュバリエ受章。
 〈2023.2.20 あなたの静岡新聞〉

24年間名誉館長 多くの子どもたちに夢与える

 「多くの子どもたちに宇宙への夢を与えてくれた」。13日に85歳で死去した漫画家の松本零士さんは、2021年6月まで約24年間にわたってディスカバリーパーク焼津天文科学館(焼津市)の名誉館長を務めた。松本さんを知る同館関係者らが哀悼の意を示した。

ディスカバリーパーク焼津天文科学館で講演する松本零士さん=2009年3月、焼津市内(市提供)
ディスカバリーパーク焼津天文科学館で講演する松本零士さん=2009年3月、焼津市内(市提供)
 松本さんは1997年、同館のオープンに合わせて名誉館長に就任した。松本さんの作品が同館の目指すイメージと一致するとして、当時の市長が就任を依頼したという。2009年ごろまでは毎年のように同館で講演会を開催したほか、代表作である「銀河鉄道999」の世界観を反映したプラネタリウムも上映した。
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ディスカバリーパーク焼津天文科学館
   開館時から同館職員として働く今橋正雄さん(57)は、講演で自らの生い立ちや火星への興味について熱っぽく語る松本さんの姿を記憶している。「興味を引く内容で、来場客も熱心に聞き入っている様子だった」と振り返る。最後に会ったのは5年ほど前、東京都練馬区の自宅を訪れて開館20周年のビデオメッセージを撮影した時で、「とても気さくに話してくれた」と懐かしんだ。
 同館の河合達也館長は「長年にわたって交流してくれた。とても残念な気持ち」と悼んだ。中野弘道市長は「名誉館長として運営を支えてくれた。心より感謝している」とコメントした。
 〈2023.2.21 あなたの静岡新聞〉

「星の海を夢見て」 講演会で宇宙の魅力語る

講演する名誉館長の松本零士さん=焼津市のディスカバリーパーク焼津
講演する名誉館長の松本零士さん=焼津市のディスカバリーパーク焼津
 ※2007年7月30日 静岡新聞朝刊から
 焼津市田尻の市立体験学習施設、ディスカバリーパーク焼津は29日(※2007年7月29日)、開館10周年の記念行事を同所で行った。
  天文科学館「ときめき遊星館」では科学体験の特設コーナーが開設され、名誉館長を務める漫画家松本零士さんの記念講演も行われた。温水プール「水夢館」でも来場者向けイベントが行われた。
  10周年を記念し、地球観測衛星「だいち」が撮影した焼津市の衛星写真パネルを市内の18小中学校に寄贈した。記念セレモニーでは戸本隆雄市長、松本零士さんらがくす玉を割った。
  体験コーナーではスライム作り、フィルムケースロケットの製作、飛行などが人気を集めた。松本零士さんは「星の海を夢見て」と題し、天文ファンや家族連れに宇宙の魅力を語った。
  ディスカバリーパーク焼津は「宇宙・海・自然」をテーマに1997年7月20日に開館。天文科学館にはプラネタリウムと県内最大の反射望遠鏡がある。2005年8月に有料入場者数が150万人に到達した。
 ※表記、肩書、年齢などはいずれも当時

過去にはエレベーター内でデザイン画の演出も

塗装し直したエレベーター内に投影される松本零士氏のデザイン画(ディスカバリーパーク焼津天文科学館提供)
塗装し直したエレベーター内に投影される松本零士氏のデザイン画(ディスカバリーパーク焼津天文科学館提供)
 ※2017年7月8日 静岡新聞朝刊から
 焼津市のディスカバリーパーク焼津天文科学館は、館内エレベーター内のデザイン画を塗装し直し8日、運転を始める。
  エレベーターは移動中、漫画家松本零士名誉館長の作品「新竹取物語 1000年女王」のキャラクターがブラックライトで幻想的に浮かび上がる。経年劣化により色落ちや?離していて、休館日の3~7日に修繕した。
  7日は塗装費の一部として20万円を寄付した焼津信用金庫の牧田和夫理事長が訪れ、市振興公社の松永六郎理事長に目録を手渡した。松永理事長は「エレベーターが輝きを取り戻した」と感謝した。
  エレベーター内のデザイン画演出は、開館時の1997年から行っている。12年前にも同金庫の支援を受けて再塗装した。
 ※現在はエレベーター内のデザイン画の演出は行っていません。
地域再生大賞