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裾野市民文化センターどうなる スプリンクラー作動問題まとめ

 裾野市民文化センターで9月下旬、舞台上のスプリンクラーが突然作動し、当日公演を予定していた焼津の管弦楽団「シンフォニエッタ静岡」の演奏者らが転倒してけがを負いました。楽団の楽器やステージの照明、音響機器も水に漬かり、大ホールの運用再開時期は未定となっています。昨年2月に「財政非常事態宣言」を発令した裾野市にとって修繕費用の負担は重くのしかかっています。これまでの経緯と現状をまとめました。

被害総額1億5900万円 施設存続か廃止か再検討

 裾野市民文化センターで9月下旬、舞台上のスプリンクラーが突然作動した浸水被害で、市は27日、水をかぶった大ホールの運用再開時期は未定との見方を示した。市は作動原因を調べながら施設の「存続」か「廃止」かを決める。予定していた施設の改修工事は延期し、新しい指定管理者選びも中断する。

公演予定を告げるポスターが1枚も貼ってない裾野市民文化センターの案内板(左)=27日午後、同市
公演予定を告げるポスターが1枚も貼ってない裾野市民文化センターの案内板(左)=27日午後、同市
 市によると、照明や音響機器、コンサートピアノなど総額1億5900万円の被害が生じた。市役所で同日、記者会見した村田悠市長は「大ホールを最低限利用可能な状況にするために必要な額で、幕類などの修繕を加えれば、さらに必要になる」と指摘した。
 収容人数1200人の大ホールと、同400人の多目的ホールでは11月以降、つり天井落下防止の改修工事を計画していた。当初は来夏の運用再開を予定していたが、浸水被害で白紙になった。現在の指定管理者は本年度で契約期間が終わるが、来年度以降の選考はいったん保留する。
 税収減などで「財政非常事態」を宣言した市にとって、復旧費と改修費の二重負担は厳しい。市は利用団体からの要望を受け、「現状のままの存続」を決めていた施設のあり方を再検討する。施設には会議室や図書室もあり、「大ホール以外を存続させる」「老朽化が進んでいるため閉館する」を含めた3案の中から決めるという。
 装置作動の原因究明の結果によっては市に損害賠償責任が生じたり、逆に損害が補償されたりする可能性がある。「原因によって施設の方向性も変わってくる」(市幹部)という。
〈2022.10.28 あなたの静岡新聞〉

楽団の機材水浸しに 演奏者など転倒しけが

 裾野市の村田悠市長は5日の定例記者会見で、先月24日に市民文化センター大ホールで起きたスプリンクラー誤作動について、「誤作動後に実施した専門業者による点検で機器の故障や異常は確認できなかった」と述べ、引き続き原因を調べる考えを示した。

 誤作動は同日午後1時ごろ、舞台の天井スプリンクラーが作動し、反響板や舞台装置、グランドピアノのほか、同日に自主公演を予定していた楽団「シンフォニエッタ静岡」の楽団員の機材が水浸しになった。ホールの使用は当面中止している。
 市によると、楽団員の男女2人が滑って転倒し、男性が骨折、女性が腕を打撲する重軽傷を負った。村田市長は「楽器が水損し、けがをされた方がいることについて、楽団の皆さまに心よりお見舞い申し上げる」とした。
 グランドピアノはスタインウェイ製で購入価格は約1300万円だった。被害総額は調査中。市は人為的操作の可能性があることから裾野署に相談した。
〈2022.10.6 あなたの静岡新聞〉

裾野市長「原因究明を加速」 調査委立ち上げ

 裾野市民文化センターで9月下旬、舞台上のスプリンクラーが突然作動した浸水被害で、村田悠市長は27日、市役所で記者会見を開き、事故調査委員会を立ち上げると発表した。村田市長は「(スプリンクラーの)設置や管理に瑕疵(かし)があったと認められなければ、公金を拠出して補償することはできない。原因究明を加速させる」と話した。

スプリンクラーによる浸水被害について説明する裾野市の村田悠市長=27日午前、市役所
スプリンクラーによる浸水被害について説明する裾野市の村田悠市長=27日午前、市役所
 市によると、委託業者による定期点検と作動後の調査では、装置に故障や異常は確認されなかった。調査委は大学教授や別の業者ら3~5人で構成し、第三者の専門的な視点で不具合の有無を改めて検証する。調査委の結果がまとまる時期は「未定」としたが、本年度内に数回の会合を開く。市の代理人には御宿哲也弁護士を指定した。
 調査結果で装置に問題がなかったと示された場合、誰かが故意に作動させた可能性が出てくるため、市は裾野署に被害届の提出を検討する。
 スプリンクラーは管弦楽団「シンフォニエッタ静岡」(焼津市)の公演前に作動した。楽団によると楽器やケース、楽譜などが水をかぶり、関係者5人が重軽傷を負った。施設側は音響機器や照明、コンサートピアノなどが被害を受けた。
 同センターは指定管理者制度による公設民営施設。楽団は「裾野市は設置者としての責任を認め、早急に補償を開始することを求めたい」と主張する。ただ、原因によって賠償責任の所在や割合は異なるため、市はまず調査を優先する方針。
〈2022.10.27 あなたの静岡新聞〉

被害の楽団「市は向き合って」 補償巡る交渉は難航の可能性

 裾野市民文化センターで9月下旬、舞台上のスプリンクラーが突然作動した問題で、当日に公演を予定していた管弦楽団「シンフォニエッタ静岡」(焼津市)は13日、静岡市内で記者会見し、被害状況を明らかにした。関係者5人が重軽傷を負い、多くの楽器や楽器ケース、楽譜が水に漬かったという。作動の原因は不明で、補償などを巡る市と楽団の交渉は難航する可能性も出ている。

スプリンクラーが突然作動した大ホールの舞台=13日午前、裾野市民文化センター
スプリンクラーが突然作動した大ホールの舞台=13日午前、裾野市民文化センター
 公演は9月24日に予定されていたが、開演約1時間前に大ホールのスプリンクラーが突然作動し、舞台が水浸しになって中止になった。指揮者1人と演奏者56人が出演する予定で、既に楽器のセッティングは終わっていた。5人は転倒するなどしてけがをしたという。楽団側の被害額は調査中。芸術監督・指揮者の中原朋哉さん(49)は「裾野市には誠実に向き合ってほしい」と話した。
 スプリンクラーは手動式で、操作する取っ手のある起動弁は舞台の左右2カ所に設置されている。起動弁にはふたがついているため、誤ってぶつかるなどして作動する可能性はないという。市によると、業者による定期点検と作動後の調査で異常や故障は確認されていないとしている。
 誰かが故意に取っ手を操作した可能性もあるため、市は裾野署に届け出た。ただ、起動弁の近くに防犯カメラがなかったこともあり、原因究明は難しいとみられている。
 センターのコンサートピアノや照明、音響機器なども水をかぶった。
〈2022.10.14 あなたの静岡新聞〉
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