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着々と進む「静岡市プラモデル化計画」 大人も子どもも楽しんで!

 アオシマ、タミヤ、ハセガワ、バンダイといった世界的な模型メーカーが本社や主要な生産拠点をを置く静岡市。これまでの模型作りの歴史とプラモデルの出荷額の圧倒的なシェアを背景に「模型の世界首都」を目指しています。毎年5月に行われる静岡ホビーショーは世界的にも珍しく、大きな集客力を持つイベントとなっています。2021年には組み立て前のプラモデルをイメージした 「プラモニュメント」が街中に登場し、新たなフォトスポットにもなっています。静岡市内のプラモデル事情をまとめました。

「旅」テーマ プラモニュメント登場 静岡市葵区七間町 ホテル前に新設

 静岡市葵区七間町に10日オープンした「ホテルウィングインターナショナル静岡」の前にこのほど、組み立て前のプラモデルの部品群をかたどった「プラモニュメント」がお目見えした。ベッドやキャリーバッグなど旅を感じさせるホテルならではのパーツが並んだデザインで、市中心街から「プラモデルのまち・静岡市」を市民や観光客に広く発信する。

ホテルをモチーフにしたプラモニュメント=静岡市葵区七間町
ホテルをモチーフにしたプラモニュメント=静岡市葵区七間町
 大きさは高さ2・45メートル、幅2メートルのステンレス製。ベッドや浴槽を模したパーツや茶わんと魚が描かれたパネルなどを組み込んだ。七間町通りに面したエントランスに設置され、宿泊客以外も楽しめる。
 プラモデルを生かした地域活性化に取り組む市の事業に賛同したビル所有者のヨシコン(同市葵区)と、同ホテルが協力して設置した。市内のプラモニュメントは計9基となった。
(政治部・池谷遥子)
〈2023.8.29 あなたの静岡新聞〉
 

「プラモデルのまち」PR 交流人口拡大、地域の活力向上へ

 静岡市は2020年度、博報堂グループで商品・イベントなどをプロデュースする博報堂ケトル(東京)、静岡博報堂(同市葵区)と連携し、プラモデル出荷額日本一の都市としての情報発信を強化する。市内にプラモデルをモチーフにした工作物を設置して交流人口拡大に活用し、地域活力の向上を目指す。

「プラモニュメント」のイメージ(静岡市提供)
「プラモニュメント」のイメージ(静岡市提供)
  18日(※2020年2月)発表した20年度当初予算案に関連費用3千万円を盛り込んだ。また同日に両社と包括連携協定を締結。博報堂グループの創造力を生かしたシティープロモーションや産業振興策を重ねる態勢を整えた。
  新年度は「プラモニュメント」と称する組み立て前のプラスチック製部品群(ランナー)をかたどった工作物を、葵区の中心市街地に10基程度設ける。うち4基は市が1800万円を投じて制作し、道路脇の市有地や公園などに配する。また博報堂グループの提案に賛同した地元企業に補助金(計1200万円)を交付し、別に6基前後誕生させる。
  設置後は積極的なPRを展開して国内外の模型ファンを市内に集めることで、会員制交流サイト(SNS)への投稿、拡散効果による交流人口拡大を見込む。
〈2020.2.19 静岡新聞朝刊〉

自分だけのプラモ作ろう 駿府匠宿に新工房 静岡市

 静岡市駿河区の伝統工芸体験施設「駿府の工房 匠宿」に8日、ミニ四駆制作やプラモデル塗装を体験できる「模型工房」がオープンした。模型メーカーのタミヤ(同区)が監修し、市が「模型の世界首都・静岡」をPRするため、子どもにものづくりの楽しさを知ってもらおうと開設した。

ミニ四駆制作や恐竜の色塗りが体験できる模型工房=静岡市駿河区の「駿府の工房 匠宿」
ミニ四駆制作や恐竜の色塗りが体験できる模型工房=静岡市駿河区の「駿府の工房 匠宿」
 恐竜のプラモデルを組み立てて筆で色を塗る体験や、プラスチック板を使ったキーホルダー、アクセサリーの制作など5種類の体験が楽しめる。ミニ四駆は模型工房に設置されたコースで完成品を走らせることもできる。体験会は各営業日の午前に1回、午後2回の計3回開催される。
 オープン記念として、恐竜の色塗り体験応募者には角に漆を塗ったトリケラトプスと、お茶染めのネクタイが付いたティラノサウルスを各時間帯に先着で1個ずつ販売する。それぞれ限定50個で、なくなり次第終了する。
 同工房で開かれたオープニングセレモニーでは関係者がテープカットを行った。9、10の両日は予約なしで体験でき、11日以降の体験は匠宿ホームページで予約を受け付ける。
(白鳥壱暉)
〈2023.8.9 あなたの静岡新聞〉
 

静岡市「プラモデル振興係」創設

 プラモデルの出荷額で国内8割のシェアを誇る静岡市は2022年度、産業振興課内に「プラモデル振興係」を創設し、地場産品を活用した地域活性化に向けて始動した。「模型の世界首都・静岡」の実現に向け、組み立て前の部品群をかたどった「プラモニュメント」の設置や、ものづくりの楽しさの発信を重点的に推進する。

産業振興課内に創設されたプラモデル振興係。模型を活用したまちづくりに力を入れる=14日、静岡市役所清水庁舎
産業振興課内に創設されたプラモデル振興係。模型を活用したまちづくりに力を入れる=14日、静岡市役所清水庁舎
 21年度まで同課工業振興係の業務だった「ホビーのまち」の関連事業を受け持つ。係の職員を5月から1人増員して3人体制とする。環境づくり▽人材づくり▽コンテンツづくり-を3本柱とした「市プラモデル化計画」に基づき、既存事業の拡充や新たな取り組みの構想、実現に注力する。
 市は21年度までに、ポストや公衆電話をモチーフにしたプラモニュメントを市内に4基設置した。今後も賛同事業者を募って設置箇所を増やし、交流人口の拡大を図る。小学校や市の公開講座で実施しているプラモデルを活用した授業を広くPRし、模型メーカーが多く集積する市内への若者の就職意欲向上など、郷土愛の醸成にもつなげる。
 ホビー業界を盛り上げる新規事業の考案に向けては、模型メーカーや関係企業と意見交換し、官民連携で推し進める。
 初代係長となった石川直哉さんは「プラモデルを中心としたホビーは市の核となる重要な産業。主役はメーカーだが、そこを支援しつつ市の魅力発信につなげていきたい」と話した。

 ■コロナ禍 需要高まり品薄
 静岡市の模型メーカーでつくる静岡模型教材協同組合によると、新型コロナウイルス感染拡大による巣ごもり需要の高まりで、プラモデルの売り上げが伸び、品薄状態が続いている。かつて模型作りに熱中した世代やファミリー層にも広がりを見せ、模型を作るための工具など関連商品の販売も好調だという。
 同市駿河区に本社を置く模型大手タミヤの広報担当者は、市のプラモデル振興係の創設に「前向きに受け止めている。積極的に関わり、業界の盛り上げに向け連携していきたい」と強調した。
(政治部・池谷遥子)
〈2023.4.22 あなたの静岡新聞〉
 
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