人と人をつなぐ 島田・伊久美地区、ビールを名物に
島田市伊久美地区でホップ栽培に取り組む合同会社「ビアホップおおいがわ」が自社醸造したクラフトビール。飲食店での常時提供が始まりました。同社は、伊久美地区に志太地域初のクラフトビール醸造・販売所「193バレーブリューイング」を開業し、昨年末に自社醸造のクラフトビール3種類を完成させました。これまでの経過を振り返ります。
〈静岡新聞社編集局未来戦略チーム・安達美佑〉
島田「KADODE」で堪能、バーガーと
島田市伊久美地区でホップ栽培に取り組む合同会社「ビアホップおおいがわ」(小林浩樹代表)が自社醸造したクラフトビールが、同市のKADODE OOIGAWAのハンバーガー屋「緑茶バーガーと麦酒」で提供されている。飲食店での常時提供は初。専用の注ぎ口「タップ」から注がれるビールは瓶詰めの工程がない分、酸化が少なく新鮮な状態で味わえるという。
![専用の注ぎ口から提供されるクラフトビール=島田市のKADODE OOIGAWA](/news/images/n102/1014777/IP220119TAN000068000_O.jpg)
小林代表は「香りと苦みのバランスが良く、ハンバーガーやポテトに合うクラフトビール」と話した。一杯660円(税込み)。
〈2022.01.20 あなたの静岡新聞〉
大井川ホップ、夢薫る一歩 島田で初収穫、ビール特産化目指す
島田市笹間下の山あいでビールの原材料となるホップの栽培が始まり、今夏(2020年夏)初収穫したホップを使ったクラフトビールが年内をめどに販売されることになった。東北や北海道が生産の適地とされ、本県での成功事例が少ないホップ栽培に挑むのは、合同会社「ビアホップおおいがわ」の小林浩樹代表(53)。「大井川流域の新たな産業としてホップを広めたい」と意気込んでいる。
![仕上がったビールを試飲する小林浩樹さん(左)=12月中旬、掛川市のカケガワファームブルーイング/初収穫し乾燥させたホップ](/news/images/n102/1014777/be.jpg)
ホップ栽培に取り組むJA静岡市青壮年部や各地の醸造所などから知識を得て、もともと茶畑だった農地などでまず土壌改良を行い、3月(※2020年)から3カ所でアメリカ原種の「カスケード」を試験栽培した。カモシカの食害や日照不足などに見舞われたものの、2・5キロを収穫し、西光エンジニアリング(藤枝市)が開発した乾燥機で仕上げた。
醸造を引き受けたのはカケガワファームブルーイング(掛川市)。初めて県産ホップを使ったという杉浦健美代表(44)は「香りが心地よく飲みやすい。最初としては上々の出来」と評価する。
来年は100キロの収穫を目指す。ホップの乾燥に地元農家が所有するシイタケの乾燥機を利用するユニークな案も浮上し、実験中だ。
休業中の農産物加工体験施設「やまゆり」(島田市伊久美)をクラフトビール醸造所として活用する案が市の民間提案制度で採用され、ビール造りの夢に一歩近づいた。
小林さんは「茶葉の『合組』など、産地の特徴を生かすという点で茶とホップは似ている」と話し、人々がこの地区ならではのビールと一緒に地元の農産物を味わう光景を思い描いている。
〈2020.12.18 あなたの静岡新聞〉
2021年10月に醸造所開業
島田市伊久美地区でビールの原材料となるホップの栽培に取り組む合同会社「ビアホップおおいがわ」(小林浩樹代表)が、同地区の施設をリニューアルして24日(※2021年10月)、醸造所兼販売所の「193 VALLEY BREWING(イチ・キュー・サン バレーブリューイング)」を開業した。
![施設右側に醸造所を構える](/news/images/n102/1014777/IP211024TAN000063000_0001_CDSP.jpg)
同社は施設横の農地などでホップを栽培している。酒類製造免許は取得済みで、年内までに醸造所で造った自社ビールの販売を目指す。施設内の販売所では、県内外のクラフトビールや手工芸作品などを取り扱う。年内は毎週金、土、日曜の午前10時~午後2時で営業する。
小林代表は「多くの方に来場してもらい、期待を感じている。年内の販売を目指して取り組んでいきたい」と意欲を語った。
〈2021.10.25 あなたの静岡新聞〉
志太ビジネスプランGP 代表の小林さん大賞「人と人 つなげたい」
志太3市(藤枝、島田、焼津)からの起業家輩出を目指す「志太ビジネスプラングランプリ」(3市でつくる起業ネットワーク推進協議会主催)の最終審査会が3日(※2021年2月)、藤枝市内で開かれた。大賞には、島田市の山あいでクラフトビール醸造に挑む合同会社「ビアホップおおいがわ」代表の小林浩樹さん(53)が輝いた。
![大賞に輝いた小林さん(左から3人目)ら最終審査会の出場者=藤枝市内](/news/images/n102/1014777/IP210203TAN000089000_00.jpg)
最終審査会には、12人の応募者のうち予選を勝ち抜いた5人が出場。国産アボカドの産地化や、かかりつけ助産院の開設といったプランをそれぞれ発表した。
審査員長を務めた玉木潤一郎・起業家育成協会理事は「海外展開を見込めたり、地域の魅力をさらに深掘りしたり、個性を感じる提案ばかりだった」と感想を述べた。
〈2021.02.04 あなたの静岡新聞〉