SLおにいさん・おねえさん出発進行 大鉄名物、専務車掌に新顔

 大井川鉄道(本社・島田市)が蒸気機関車(SL)で旅の案内役を務める「SL専務車掌」として初めて若手の駅員2人を登用し、このほど乗務が始まった。「SLおじさん・おばさん」と親しまれているベテランSL専務車掌の引退が相次ぎ、新顔は7年ぶりの配属。「SLおにいさん・おねえさん」として、おもてなしの歴史を受け継ごうと奮闘中だ。

SL専務車掌「SLおにいさん・おねえさん」としてデビューした上村詩恵さん(右)と久保川真守さん=29日午前、島田市の大井川鉄道新金谷駅
SL専務車掌「SLおにいさん・おねえさん」としてデビューした上村詩恵さん(右)と久保川真守さん=29日午前、島田市の大井川鉄道新金谷駅

 9~10月にかけて乗務を開始したのは、井川線や本線で車掌経験を積んだ上村詩恵さん(34)と昨年入社した久保川真守さん(24)。1日1~2往復する「かわね路号」に乗車して沿線地域の歴史や鉄道の豆知識、車窓からの景色、観光情報などをアナウンスするほか、名物のハーモニカ演奏も披露する。
 以前から大鉄沿線を訪れていた上村さんは運転手や乗務員の姿に「かっこいい」と憧れを抱き、2016年に未経験だった鉄道の世界に飛び込んだ。「印象に残るような専務車掌になり『来て良かった』と思ってもらいたい」と、29日も親子連れらにSLの特徴や沿線の見どころをテンポ良く紹介した。
 「人前に立って表現することが好き」という久保川さんは俳優としての活動歴を持つ。ベテラン乗務車掌の佐藤あけみさん(61)から業務を学び、今月から仕事を任されている。「大先輩のノウハウを継承しつつ、自分らしさを出していきたい」と意欲的だ。
 上村さん、久保川さんが加わりSL専務車掌は現在4人体制。新型コロナウイルスの影響で現在は放送室からのアナウンスに限定しているが、徐々に接客場面を増やす方針という。同社広報の山本豊福さんは「SLの運休も続いた中で明るい話題。フレッシュな2人に盛り上げてほしい」と期待を寄せている。

 <メモ>大井川鉄道のSL専務車掌 ドアの開閉や車内改札を行う車掌とは異なり、SL車内で乗客をもてなす専門の乗務員。1976年のSL復活運転開始以来、国鉄OBや元教員ら10人が務め、個性や特技を生かした接客を行ってきた。平均年齢72歳と高齢化が進み、ことしに入って2人が引退、若手社員2人が加わった。

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