七五三 密避け分散 千歳飴前倒し、自宅で簡単着付け

 新型コロナウイルス感染症の流行を受け、七五三参りの時期が分散化している。本来の参拝日は11月15日だが、今年、静岡県内の神社では9月末ごろから前倒しで訪れる家族の姿が目立ち始めた。七五三参りは近年、混雑時期を避ける傾向にあるが、感染防止対策と相まって拍車がかかった形だ。

平日の境内で記念撮影する七五三参りの親子連れ=5日、静岡市葵区
平日の境内で記念撮影する七五三参りの親子連れ=5日、静岡市葵区

 静岡市葵区の静岡浅間神社では例年より1カ月早く9月初めに千歳飴(ちとせあめ)の授与を始めた。10月に入ってからは混雑も見られるため、祈願の際の昇殿を両親と祝い子、きょうだいに制限している。権禰宜(ごんねぎ)の宇佐美洋二さん(51)は「祖父母の同行を最初から控える家族も多い印象。平日の祈願も増えている」と話す。
 5歳と2歳の兄妹の七五三で同神社を訪れた静岡市清水区の夫妻は「平日を選んで早めに来た。お祝いを控えた方がいいか迷いもあったが、やはり着物で祝ってあげたくて」と晴れ着姿に目を細めた。
 浜松市中区の五社神社も例年より1カ月前倒しで千歳飴を整え、早めの参拝に対応中。ウェブサイトで「時期をずらして参拝を」と呼び掛ける。三島市の三嶋大社でも早めの参拝が目立つが、10月上旬の時点では例年この時期に増える観光ツアーの参拝客が少なく、神職は「境内は比較的静か」と話す。今後の状況によっては、祈願の際の人数制限などを検討するという。
 感染リスクを避ける心理は、着付けや撮影の現場でも。静岡市駿河区の貸衣装店「真奈武」では9月から、自宅で記念撮影を希望する家族向けに、巻き付けて止めるだけで簡単に着付けできる着物や小道具を貸し出し、好評だ。大窪佳信社長(36)は「七五三に限らず、感染対策を踏まえたサービスは今後ますます重要になる。人生の節目を安心して祝ってもらえるよう、知恵を絞りたい」と先を見据える。

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