富士川河口に“謎の泥” 雨畑川の凝集剤汚泥に酷似【動画あり】

 採石業者による凝集剤入り汚泥の不法投棄現場下流の富士川水系雨畑川(山梨県早川町)などに今もこびり付く“謎の泥”が、サクラエビの主産卵場とされる駿河湾奥に注ぐ約50キロ下流の富士川河口(富士・静岡市境)にも広がっていることが28日までに分かった。地元住民からの情報を受け、静岡新聞社が現地を確認した。主に小石などから成る中州の一部に、粘度の高い泥が固まっていた。

上空から確認できる謎の泥(赤丸で囲った部分)。左手にはサクラエビの「干し場」が見える=10月下旬、富士川河口(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)
上空から確認できる謎の泥(赤丸で囲った部分)。左手にはサクラエビの「干し場」が見える=10月下旬、富士川河口(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)
富士川河口に広がる謎の泥。プリンのような弾力を持ち、表面には独特の光沢がある=11月上旬
富士川河口に広がる謎の泥。プリンのような弾力を持ち、表面には独特の光沢がある=11月上旬
上空から確認できる謎の泥(赤丸で囲った部分)。左手にはサクラエビの「干し場」が見える=10月下旬、富士川河口(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)
富士川河口に広がる謎の泥。プリンのような弾力を持ち、表面には独特の光沢がある=11月上旬

 今月上旬、河口近くの左岸の駐車場に車を止め、海に近い中州を目指して歩いた。石や流木などに足を取られながら約15分で深い流れに。上流に迂回(うかい)し、1時間以上かけて開口部付近の中州にたどり着いた。富士山をバックにしたサクラエビの天日干しで有名な「干し場」の東側に当たる。
 大部分は小石などで覆われていた。そして、海に近づくと、泥のたまりが現れた。表面に独特の光沢があり、足を乗せるとプリンのような弾力がある。粘り気があって長靴にまとわりつく。やや粒子の粗い場所では、足が泥に深く沈み込んだ。
 その泥に手で触れてみた。表面はセメントかモルタルのような質感で固く、ほじると強い粘り気があった。
 静岡新聞社は今年9月、雨畑川での凝集剤入り汚泥不法投棄現場と周辺の様子を報道した。富士川河口中州の泥は、少なくとも外観と手触りでは、雨畑川の不法投棄現場直下の“謎の泥”と酷似していた。
 雨畑川では、アルミ加工大手日本軽金属が出資する採石業者ニッケイ工業が少なくとも約8年にわたり凝集剤入り汚泥を不法投棄した。昨年6月、山梨県は河川内に野積みされた汚泥約4840トンを撤去させ、刑事告発を見送った。日軽金の自家発電用ダム「雨畑ダム」の放水に合わせて下流に流し続けた総量数万トン以上の凝集剤入り汚泥を含む可能性のある泥は、早川に合流した先の下流などでも確認されている。

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