
取材班ピックアップコンテンツ
- 海洋研究開発機構(JAMSTEC)「駿河湾海洋予測可視化サイト」
- サクラエビ資源再生のための科学的政策提言
- 川辺川ダム計画再始動 熊本・球磨川流域ルポ
- シンポジウム「サクラエビとアラル海」
- 取材班の思い、考え方…イラストで解説 ⇒実態編 ⇒理念編
- 静岡県、山梨県、早川町、つながりは… 富士川を巡る政治的位置関係(概念図)
新着記事
-
サクラエビ豊漁願う 由比伝統「お太鼓祭り」 静岡市清水区で3年ぶり開催
旧東海道沿いにサクラエビの仲買人らの旧家が立ち並ぶ、静岡市清水区由比町屋原地区で1日、3年ぶりに県無形民俗文化財の豊積神社お太鼓祭りが行われた。不漁続きのサクラエビ漁は2022年の秋漁でようやく資源回復に薄日が差した。商人は主漁場の富士川沖で行われる今年の春漁に望みをかけた。 「今年しゃ豊年 穂に穂が咲いて海にゃ紅さす サクラエビ」 祭りは通例三が日通して行われる。今年は引き続き新型コロナウイルス感染対策のため元日のみ。それでも参加者たちはサクラエビの豊漁を願う独特の歌を口ずさみながら太鼓を積んだ台車と一緒に旧道沿いを練り歩き大いに盛り上がった。「原藤商店」を切り盛りし、自宅前で鉢巻き姿で太鼓を打った原藤蔵さん(71)は「サクラエビにかかわる全ての人が潤うようになれば」と願った。 祭りは、坂上田村麻呂の蝦夷(えぞ)討伐の戦勝祈願に由来し、1200年以上の歴史があるとされる。 21年に新型コロナ禍を受け、大火発生や太平洋戦争中も続けていた祭りが初めて中止に。21~22年の中止の間も、地元では子どもたちを夜に神社に集め太鼓の練習を行うなど継承活動を続けてきた。 地区では若者が減り、祭りの担い手不足も深刻。保存会の原裕喜会長(66)は「来年はいつもの祭りに戻れば」と期待を込めた。
-
富士川流量増、国に要望 船頭組合「全国平均に準じた量」
国が本年度中に設定する富士川の「河川維持流量」について、流域のラフティング業者でつくる「富士川船頭組合」は26日までに、国土交通省甲府河川国道事務所に対して川に戻す水量増を求めて要望書を提出した。日本軽金属の十島せき(山梨県南部町)の最大取水量毎秒75トンの3分の1の同25トンを戻すよう訴えている。 組合側は要望する水量について「全国平均に準じた流量。現状では藻類や悪臭の発生、水温の異常上昇を常態的に作り出している」などと指摘。今秋に国が明らかにした、同社水力発電所で過去35年間に少なくとも約1億9千万立方メートルが不正取水された問題についても「監視の仕組みが必要」とした。 静岡・山梨両県にまたがる同組合有志は要望書に賛同する署名活動も行っていて、関係者は「行政区分にとらわれない流域単位での当事者の声を反映させてほしい」と訴える。 検討項目を了承 国交省第2回会合 富士川の河川維持流量について、本年度中の設定を目指す国土交通省甲府河川国道事務所の有識者らによる検討会第2回会合が26日、甲府市緑が丘の同事務所で開かれた。維持流量を決定するための検討項目の内容について同事務所が示し、おおむね了承された。 提示されたのは生息する動植物の種類▽漁業▽景観▽流水の清潔な保持▽観光▽地下水位の維持―の各項目。今後、どの程度の河川維持流量を設定すれば、それぞれの観点から富士川本来の姿が保たれるか話し合う。 同事務所は年度内の設定目標は維持しつつ、当初3回を予定していた検討会を4回に増やすことも決めた。
-
サクラエビ秋漁 最終日は強風で出漁せず 182トンで終了
駿河湾で11月から続いていたサクラエビ秋漁が25日、漁期を終えた。最終日は強風を理由に出漁せず、期間中は計14日の操業で約182トンを水揚げた。由比漁港(静岡市清水区)と大井川港(焼津市)の1ケース(15キロ)当たりの両市場平均取引値は約4万6500円で、前年秋から大きな変動はなかった。 初競りで6万円台後半を記録した後、12月初旬までは4万円台後半から5万円台前半で取引値が推移した。12月中旬以降は漁獲量が回復したことを受け、特に由比漁港で4万円台前半へと値が落ち着いた。地元の漁業関係者からは3万円台後半を予測する声もあったが、外食産業からの需要回復や円安による国産回帰の傾向が影響したとみられる。 今秋の総漁獲量は県桜えび漁業組合が資源回復を目的にした自主規制を開始した2018年以降、秋漁の中では最多となった。実石正則組合長は「漁獲が上がり高値も落ち着いてきたが、来春もこの傾向が続くかが今後を左右する。慎重に資源回復の状況を見極めたい」と話した。
-
サクラエビ秋漁 12月中旬に急回復 規制導入の2018年以降、最多漁獲へ
25日に最終日を迎える駿河湾サクラエビ秋漁で、漁獲量が12月の操業で急回復し、好調に推移している。23日時点の総漁獲量は約182トン。県桜えび漁業組合が自主規制をスタートし、水揚げがゼロだった2018年秋以降では最多となった。実石正則組合長は「ようやく資源回復が確証に変わりつつある。ただ、まだまだ回復途上なので期待しつつ来春もしっかり資源状況を見極めたい」とした。 例年、大井川沖を主な漁場とする秋漁は悪天候の影響で解禁から5日遅れの11月6日に初漁を実施したが、昨秋を下回る約3トンの水揚げと出だしは振るわなかった。11月中は海水温が下がらず、まとまった魚群が現れない漁に不適な環境の中、1日の漁獲高が数トン程度にとどまる日が続いた。 12月上旬も同様の傾向が続き、さらに悪天候の影響で休漁が重なったが、同月9日、吉田町沖の「ウタレ」と呼ばれる漁場などで一挙に約36トンの水揚げがあった。続く11日の出漁でも約19トン、20日には約21トンと自主規制下の中でもまれな好調が継続。秋漁が始まってから計14回実施した操業のうち、12月の5回で約100トンを水揚げする結果となった。 サクラエビは近年、深刻な不漁が続き、組合が操業場所や漁獲可能なエビの大きさを制限する自主規制を続けているほか、主産卵場に注ぐ富士川流域では河川環境改善のための市民運動が続く。自主規制導入前年の17年秋漁では320トンを水揚げした。