富士川の河川環境「悪い」7割 静岡・山梨9市町流域住民アンケート【サクラエビ異変】

 駿河湾産サクラエビの深刻な不漁をきっかけに注目される富士川の河川環境について、静岡新聞社が静岡、山梨両県9市町などの流域住民にアンケートを行ったところ、回答を得た625人のうち約7割に当たる404人が「悪い」「非常に悪い」と答えたことが27日までの集計で分かった。先立って行った9市町に静岡県と山梨県を加えた11自治体が対象の調査では、同様の質問に対し7割に上る8自治体が「評価しかねる」などと判断を避け、認識の違いが浮き彫りになった。

富士川の河川環境についてどう思いますか/日軽金側からの説明を望みますか
富士川の河川環境についてどう思いますか/日軽金側からの説明を望みますか
日軽金波木井発電所付近の富士川では、取水により上流(右側)からの水量が大きく減少。河川環境に大きな影響を与える=21日、山梨県身延町(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)
日軽金波木井発電所付近の富士川では、取水により上流(右側)からの水量が大きく減少。河川環境に大きな影響を与える=21日、山梨県身延町(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)
富士川の河川環境についてどう思いますか/日軽金側からの説明を望みますか
日軽金波木井発電所付近の富士川では、取水により上流(右側)からの水量が大きく減少。河川環境に大きな影響を与える=21日、山梨県身延町(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)

 流域住民アンケートは9~10月、静岡と山梨両県の住民団体「富士川ネット」と合同で実施。富士川本流の河川環境では「よい」「悪い」「どちらでもない」など五つの選択肢と「そのほか(自由記述)」を設けた。213人(34・1%)が「悪い」、191人(30・6%)が「非常に悪い」と回答した。「水量の減少が著しく、雨後の水の濁りが一昔前に比して悪化している」「アユの姿を見ることができず、ほかの魚も川虫も鳥もいなくなった」との声も寄せられた。
 富士川水系に複数の自家発電用設備を持つアルミ加工大手日本軽金属が、製錬を前提に許可された水利権で得た電力を国の固定価格買い取り制度(FIT)を利用し売電に流用していることには、70・6%に上る441人が同社側からの説明を「なかった」とした。そのうち63・0%に当たる278人が説明を「望む」とし「(太平洋戦争当時の)国策事業ということでやむなく水を日軽金に回したこと、流域の生活や産業に大きく影響したことを考えると企業としての説明責任がある」などとした。
 FITを利用した水力発電に関する資源エネルギー庁の「事業計画策定ガイドライン」は「事業の概要や環境・景観への影響等について、地域住民への説明会を開催するなど、事業について理解を得られるように努めること」と求めている。

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