国交省案、応じても遅れ リニア早期開業へ矛盾 静岡県「協議期間がネックに」

 リニア中央新幹線工事に伴う大井川の流量減少問題を巡り、国土交通省が県に示したヤード(作業基地)の追加工事に関する提案の矛盾が浮き彫りになっている。県がすぐに提案に応じてJR東海がヤードに着工できても、トンネル掘削を始める前提となる国や県の有識者会議の協議期間が「ボトルネック」(県関係者)になってトンネル掘削工事に着手できず、国交省が目指すリニアの早期開業にはつながらないためだ。県は有識者会議の議論を進めることが、開業を早める「唯一の道」だと指摘する。

国土交通省の提案で想定される流れ
国土交通省の提案で想定される流れ

 JR東海の金子慎社長の説明によると、難工事とされるリニア静岡工区はトンネル掘削工事に着手してから完成まで順調に進んでも7年5カ月かかる。さらに国交省が提案で県に容認するよう求めた追加工事は、最も工期の差し迫った西俣ヤードで3カ月を要する。
 一方で同省事務方トップの藤田耕三事務次官(当時)は今月10日の記者会見で、同省の提案で触れたトンネル掘削前の手続きについて県の求める47項目全ての議論が国や県の有識者会議で必要になるとの見解を示した。仮に県が追加工事を認め3カ月で完了しても、国と県の有識者会議の結論が3カ月以内に出ず、流域とJRが着工合意の協定を結べない状態が続けば、トンネル掘削に着手できず開業に結び付かない。
 川勝平太知事は14日の定例記者会見で、国交省の提案について「無理難題に等しい」と指摘。JRが県有識者会議で委員の質問に十分対応しなかったり、分かりやすい資料作りに応じなかったりしたことが、開業の遅れにつながったとの認識を示した。
 県幹部は「JRがこれまでの協議姿勢を変えなければ、協議期間は年単位になる」との見方を示す。ただ、一方で「JRの対応次第で協議が数カ月で終わり、早期開業につながる可能性もある」と示唆した。

 ■国土交通省のヤード(作業基地)追加工事に関する提案内容
 ▽JR東海は、国と県の有識者会議で全ての議論が終わるまでトンネル掘削工事に着手しない
 ▽県は非常用・導水路トンネル入り口付近の追加工事を容認し、県条例に基づく協定を結ぶ
 ▽国や県の有識者会議でトンネル入り口の変更などを求められれば、JRは応じる

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