ヤード追加工事「国提案応じず」で一致 静岡県、10市町の意向を確認【リニア大井川水問題】

 リニア中央新幹線工事に伴う大井川の流量減少問題で、県は14日、ヤード(作業基地)の追加工事に関する国土交通省の提案について、大井川流域10市町に改めて意向を確認し、応じない方針で一致したと発表した。同省の提案には流域市町間で温度差が生まれていたが、記者会見した難波喬司副知事は今月初旬に流域市町に行った追加工事を制限する県条例の説明が不十分だったと県の責任を認めて陳謝した。
 川勝平太知事は10日に同省の藤田耕三事務次官と会談。会談前に確認した流域市町の意向を踏まえて川勝知事は提案に応じなかったが、島田市の染谷絹代市長は会談後、記者団に「(国交省の提案に)反対する理由を見つけることが難しい」と発言していた。
 JRや国交省は、条例で追加工事が制限できないように、坑口整備やトンネル本体工事を一つの開発行為ではなく分割し捉えるよう求めたが、難波副知事は会見で「環境行政の根幹に関わる。悪しき前例として条例の適用を免れる行為を誘発する」と求めに応じられない理由を説明した。
 13日に開いたオンライン会議で流域市町長らに条例の趣旨を改めて説明したことも明らかにし「私も含めた事務方の(会談前の)説明が悪かった」と述べた。会議では市町長から「理解が進んだ」「(提案に応じないのは)当たり前だ」などの意見が出たという。国交省から提案に関する説明を直接聞くかについては意見が割れ、県が調整し今週中に国交省へ回答するとした。

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