土石流被災者へ思い出の品 熱海市、拾得物返還受け付け

 熱海市伊豆山の大規模土石流で被災家屋から流出した写真などの拾得物について、市は5日、持ち主に戻す手続きの予約受け付けを開始した。8日から順次返却する。拾得物は旧網代小で保管し、ボランティアが7月中旬から洗浄などを行っていた。担当者は「まちの復興だけでなく、傷ついた被災者の心の復興につながれば」と話している。

ランドセルなど被災現場から回収された大量の拾得物=5日午前、熱海市の旧網代小
ランドセルなど被災現場から回収された大量の拾得物=5日午前、熱海市の旧網代小

 拾得物は警察、自衛隊、消防が捜索活動と並行して回収したり、市職員が拾い集めたりした。写真約6万枚、はがき・手紙約千通、位牌(いはい)・遺影約20点、ランドセルなどのかばん約30点など計10万点超に上る。
 泥だらけのまま搬入された思い出の品は、熱海花の会や市赤十字奉仕団などのボランティア団体会員が一つ一つ丁寧に洗った。洗浄方法の指導や資機材の提供に市内外の企業も無償で協力した。作業は現在も続いている。
 花の会の中村康江会長(78)は「結婚式や七五三など大事な写真がたくさんある。一日も早く被災者の元に届けたい」と話した。奉仕団の椎野政子委員長(74)も「傷んでいても、持ち主にとっては宝物ばかりと思う」と被災者に心を寄せた。
 いとこの小磯尚子さん(61)=当時=が亡くなった奉仕団の土屋由貴子さん(71)は「幼い頃から姉妹のような存在だった」と悲しみを抱えつつ、「被災者の皆さんの思い出をよみがえらせたい」と話しながら写真に付いた泥を洗い流した。

 ■予約制 1日4組
 熱海市は土石流で住宅が被災した世帯や遺族に拾得物返還の案内書類を送付する。返還は予約制で1日4組まで。拾得物には個人情報が含まれるため、旧網代小には被災世帯員、遺族、被災世帯員から委任された人のみが入れる。本人確認が必要。予約は市協働環境課<電0557(86)6201>へ。

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