水、ガス遮断 不安な週明け 熱海・土石流「長期避難も想定」

 熱海市伊豆山の大規模な土石流発生から3日目を迎えた5日、被災地は初の平日を迎えた。周辺地域では水道やガス、道路などのライフラインが遮断されたままの状態が続いていて、住民たちは二次災害への不安を抱えたまま不便な生活を強いられている。

発生から3日目となった土石流の現場で捜索活動を見守る男性=5日午前8時35分、熱海市伊豆山
発生から3日目となった土石流の現場で捜索活動を見守る男性=5日午前8時35分、熱海市伊豆山
安否不明者の捜索のためがれきを撤去する隊員=5日午前8時55分ごろ、熱海市伊豆山
安否不明者の捜索のためがれきを撤去する隊員=5日午前8時55分ごろ、熱海市伊豆山
給水所で水を受け取る住民=5日午前8時40分ごろ、熱海市の仲道公民館
給水所で水を受け取る住民=5日午前8時40分ごろ、熱海市の仲道公民館
発生から3日目となった土石流の現場で捜索活動を見守る男性=5日午前8時35分、熱海市伊豆山
安否不明者の捜索のためがれきを撤去する隊員=5日午前8時55分ごろ、熱海市伊豆山
給水所で水を受け取る住民=5日午前8時40分ごろ、熱海市の仲道公民館

 「先に県外に逃げています。そちらも気を付けて」。土石流の発生場所の東側にある伊豆山の仲道地区。神奈川県茅ケ崎市の実家への避難を決めた男性会社員(39)は同日、近隣の高齢女性に声を掛けた。男性は実家に子どもを預けた後、荷物を取りにいったん戻ってきたといい「崩落場所から近いので次の災害が怖い。長期の避難も考えないと」と不安な表情を見せた。
 熱海市によると、伊豆山地区では同日午前現在、1100軒で断水が継続。近隣の海光町地区も含め、392軒でガスの使用が停止しているという。周辺の道路も各所で寸断され、住民生活に大きな影響を及ぼしている。
 仲道地区では公民館に簡易的な給水タンクが設置された。給水袋いっぱいに補給した沢渡清さん(83)は「事前に10リットルほどためていたがトイレなどで1日のうちに使い切ってしまった。とにかく水が足りない」と語り、大粒の汗をぬぐいながら自宅までの長い階段を上っていった。
 同地区で活動する同市消防団の松広富成本部長(51)によると、現場近くの住民で避難したのは「半数程度」だという。「体調の悪い高齢者も多く、先を見通せない状態のまま避難するのは負担が大きいはず」と気遣う。仲道町内会の高橋照幸副会長(65)は「避難したくても受け入れ先が決まらない人もいる。住民同士で集まって気を紛らわせるしかない」とこぼす。
 薬剤師高野正行さん(56)は、心臓が悪く認知症があるおば(93)と一緒に暮らす。実家は山形県。「避難するにしても長時間の移動に耐えられるか不安」と話し、「周囲の状況すら正確に把握できず、途方に暮れている」と表情を曇らせた。

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