静岡市パワハラ問題、一部認定見送り 職員や退職者から疑問の声

 静岡市危機管理総室の50代の男性幹部職員がパワハラ行為を繰り返し、職員の途中退職や休職が相次いだ問題で、職員が未申請のまま時間外勤務していたことを幹部職員のハラスメント行為と認定しなかった市の調査結果について、同室の複数の職員や退職者から疑問の声が上がっていることが29日までの取材で分かった。調査では、幹部職員が申請を直接拒否した場面は確認できなかったとしたが、調査に応じた複数の職員と退職者は、幹部職員から直接拒否されたり、直属の上司が拒否される場面を目撃したりしたと報告していた。
 職員の1人は23年5月、時間外勤務申請した際、直属の上司が幹部職員に呼ばれ、「係員全員で(時間外勤務を)やらないなら認めない」「時間外でやらないといけない理由の資料を持ってこないと認めない」などと言われたと証言した。幹部職員から翌日までの資料作成の指示を受けたため、時間外勤務を申請したケースでは、直属の上司が「そんなことで時間外勤務なんてふざけるな」と言われ、拒否されたとした。
 退職者の1人も取材に対し、幹部職員から「こんな時間外は認めない」と自分や同僚、直属の上司が言われている場面を何度も目の当たりにしたと話した。このことをパワハラ認定せずに幹部職員を減給1カ月とした懲戒処分は「実際の行為と釣り合っていないと感じる」と述べ、市に再調査を求めたいとした。
 調査した人事課の担当者は取材に対し、時間外勤務申請が認められないとの職員の訴えをハラスメント行為として認定しなかった具体的な理由について、幹部職員が訴えを否定しているかも含めて明らかにしなかった。自治体のパワハラ問題に詳しい県内の弁護士は「仮に本人が否定していても、これだけ複数の証言があれば『拒否された』と認定できるはずだ」との認識を示した。
 市は時間外勤務を巡るハラスメント行為の認定を見送った一方で、同室の職員14人が23年4~12月の9カ月間で、必要な命令を受けずに計2千時間、時間外勤務した事実を認め、手当として約600万円を追加給付する方針を示している。
懲戒処分の幹部職員「仕事を進めるためにやった」  パワハラ行為を繰り返したとして懲戒処分を受けた静岡市危機管理総室の幹部職員が、市の聞き取り調査に「仕事を進めていくためにやった。厳しい指導ではあったかもしれない。言葉を選んで話をしなければならなかった」などと話していたことが29日までの市への取材で分かった。幹部職員は定期人事異動で、4月から他部署へ移る異動が内示された。

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