サンフロント21懇話会 東部地区分科会 中心街再開発 将来を探る

 静岡県東部地域の活性化策を提言する静岡新聞社・静岡放送の「サンフロント21懇話会」(代表幹事・清野真司静岡中央銀行社長)は29日、沼津市内で東部地区分科会を開いた。中心市街地再開発の可能性や将来像について、同市の頼重秀一市長と都市計画が専門の東京大大学院の中島直人准教授、沼津あげつち商店街振興組合の小松浩二理事長(REFS代表取締役)が持論を披露した。分科会のあいさつでまちづくりの議論の意義を強調する清野真司代表幹事=29日午後、沼津市内
 3氏は「未来を拓く―沼津・東部地区 これからのまちづくり」をテーマにパネル討論を展開した。頼重市長は鉄道高架化に伴う沼津駅周辺のあり方を挙げ、「車ではなく人が中心のまちづくりを進める」とし、中島准教授は「中心市街地の問題と言えば商業活性化だったが、今は『住む』ことの再生が大事」と強調した。民間レベルで多彩な取り組みを担う小松理事長は「行政はクリエーティブであるべき」と指摘した。中島准教授は基調講演で、中心市街地の再生に取り組む富山市のコンパクトなまちづくりなどを紹介した。
 清野代表幹事はあいさつで県東部など地方都市の人口減や高齢化に触れ、「官民が一体となって大きな社会問題に対して何ができるかを模索することが重要」と述べた。懇話会のシンクタンク「TESS」研究員の青山茂氏(シード副社長)がパネル討論のコーディネーターを務めた。約130人が参加した。
 (東部総局・高橋和之)  公共空間を生かした町の在り方とは パネル討論で意見交換  沼津市で29日開かれた静岡新聞社・静岡放送の「サンフロント21懇話会」東部地区分科会のパネル討論で、登壇者らは鉄道高架化に伴う沼津駅周辺の現状と、公共空間を生かした町の在り方について意見交換した。歴史や課題に焦点を当て、居住者のライフスタイルに沿ったまちづくりの重要性を確認した。
 同市の頼重秀一市長は東海道線により駅の南北が分断され、中心市街地で一体となったまちづくりができていない課題を挙げた。「鉄道高架化により現れる空間を最大限活用し、住む人や事業をする人が楽しいと思える場にしたい」と思いを語った。東京大大学院の中島直人准教授は住む人にとってその場所が特別であることが重要とし、「歴史やストーリーをまちづくりでどう再生させるかが大切」と提案。沼津あげつち商店街振興組合の小松浩二理事長(REFS代表取締役)はこれまで仕掛けた取り組みを振りかえり、「公共空間の使い方はイベントを通じて考えていければ」と話した。
 (東部総局・天羽桜子)  東京大大学院・中島准教授 基調講演 楽しみ方からデザイン  アーバニズムは都市における人々の生活と理想的な都市にする計画の両方を捉えること。コペンハーゲンを訪れた際、平日なのに地元住民が町で楽しんでいる姿に驚いた。その土地では、環境と町を楽しむための時間があった。都市計画はライフスタイルそのものから考える必要があることに気づかされた。都市空間をデザインするには、都市生活の楽しみ方を考えていかなければいけない。
講師を務めた中島氏  2004年から富山でコンパクトなまちづくり事業を始めた。公共交通から活性化し、町で時間を過ごしたい場、楽しめる場を作って居住を再生させる。結果として、ふさわしい商業ができてくるはず。コンパクトなまちづくりは、都市生活の選択肢を増やすことが重要。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞