障害児の家族と被災経験共有 県西部の団体が「防災キャンプ」 地域との関係づくり重要

 静岡県西部の医師や看護師、福祉専門職らでつくる団体「みらいTALK」(平野浩一代表)はこのほど、人工呼吸器など医療的ケアが必要な子どもや障害児のいる家庭の災害対策を考える1泊2日の「サバイバルキャンプ&防災ワークショップ」を浜松市北区細江町の浜松みをつくし特別支援学校で開いた。東日本大震災で被災した障害児の家族2組が避難生活の状況や平時からの備えについて経験を共有した。

東日本大震災の経験を語る松川さん(左ら2人目)と笠間さん(右から2人目)=浜松市北区の浜松みをつくし特別支援学校
東日本大震災の経験を語る松川さん(左ら2人目)と笠間さん(右から2人目)=浜松市北区の浜松みをつくし特別支援学校


 福島県いわき市在住の笠間真紀さん(47)は、三男の理恩君(12)が生まれつき肢体不自由で医療的ケアが必要。発災時は市内の病院にいた。「迷惑になるのでは」と避難所に行く選択肢がなかった当時の心境を紹介した。松川浩子さん(63)=東京都豊島区=は当時、宮城県女川町在住。自閉スペクトラム症や重度のてんかんがある長男怜央さん(30)とともに同県石巻市で被災し、通っていた同市の特別支援学校に一時身を寄せた。
 笠間さんと松川さんは、医療的ケアに必要なチューブなどの器具や薬を車、知人宅など複数に分散するといった基本的な備えとともに、災害時に支援や手助けを頼める仲間や地域との関係づくりの重要性を強調した。震災後、地域ぐるみの防災訓練を始めた笠間さんは「平時にできないことは災害時にはもっとできない」と呼びかけた。
 防災キャンプは11回目。被災経験のある障害児家族を招いたのは今回が初めて。現地参加の19家族44人とオンラインを合わせ計111人が聴講した。湖西市から参加した榊原貴子さん(49)は「人とのつながりや自分たちの存在を知ってもらうことの大切さを再確認できた」と振り返った。
 (社会部・中川琳)

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