大自在(9月23日)新しい手術

 右肘の靱帯[じんたい]を損傷した米大リーグの大谷翔平選手が2度目の靱帯手術を受けたと、トップニュースで伝えられた。同じ野球選手でも昨年8月にDeNAの三嶋一輝投手が「黄色靱帯骨化症」の手術を受けたことは、広く知られなかった。
 脊髄近くの黄色靱帯が骨化して大きくなると、神経を圧迫し、下半身のまひなどを引き起こす国指定の難病。三嶋投手は手術前、歩行さえ困難な状態になったが、術後の経過は良好で今年は再び1軍のマウンドに上がっている。
 大谷選手は5年前、肘靱帯の再建手術を受けた。利き腕にメスを入れることがタブー視されていた1974年、初めてこの手術に踏み切った大リーガー投手の名にちなんで「トミー・ジョン手術」と呼ばれる。今回の手術は、前回と内容が異なる新しい手術とも報じられている。
 三嶋投手は、身体への負担が少ない最新の方法で骨化した患部を除去する前例のない手術を受けた。今年、この手術が「MISHIMA手術」と命名されたと、海外の医学誌が発表した。
 難病は発症の原因が不明で、治療法が確立していない症例の少ない疾病と言われるが、黄色靱帯骨化症はこれまでも何人かの投手が発症した。中日の福敬登投手も昨年10月、三嶋投手と同じ手術に臨み、復帰を果たした。
 トミー・ジョンの勝利数は手術前より手術後の方が多く、46歳まで投げ続けた。肘靱帯を傷めた投手に希望を与えたのは言うまでもない。三嶋投手も福投手もまだ30代前半。同じ難病を患う人を勇気づけるためにも息の長い活躍を祈っている。

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