静岡人インタビュー「この人」 新興国の音楽教育普及に取り組む 日比野ともみさん(浜松市中区)

 ヤマハに勤務し、エジプトやベトナムなどの新興国で音楽教育の普及活動を進めている。2012年から2年間、勤務しながら国際協力機構(JICA)の海外協力隊としてヨルダンで音楽教育活動に取り組み、その経験を仕事に生かしていることから、4月にJICAの「帰国隊員社会還元表彰」を受賞した。東京都出身。37歳。

日比野ともみさん
日比野ともみさん

 -現在の仕事は。
 「音楽の授業がない国で、リコーダーや鍵盤ハーモニカを使った教育を普及させるヤマハの『スクールプロジェクト』を進めている。現地の教員らに音楽教育の意義や授業の進め方、楽器の演奏手法を伝える研修が中心。自分が伝えたことが現地の子どもたちの学びにつながるので、とても重要な仕事だと感じている」
 -プロジェクトの目的は。
 「楽器が上手な子を育てたいのではない。音楽は合奏などを通じて人と協力するため、コミュニケーション能力や意欲といった非認知機能を養うことができる。新興国は非認知能力を養う方法を模索している。ヤマハとして音楽教育を提供し、将来の音楽人口を増やしたい」
 -どんな課題があるか。
 「プロジェクトメンバーは教育のプロではない上に、国によって環境が異なる。7カ国で展開しているが、国ごとに合わせた進め方を考えることが難しい。現地から音楽の授業の動画が送られることがあり、子どもたちがうれしそうにしているのを見るとやりがいを感じる」
 -受賞の感想を。
 「海外協力隊は、音楽を通じ世界で挑戦したいとの思いで参加した。評価してもらえたことはとてもありがたい。チャレンジできる場があるのだと社内に広がるきっかけになった」
 (浜松総局・日比野都麦)

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