静岡市葵区・杉尾、日向の盛り土 県が代執行で是正へ 業者、命令従わず

 静岡市葵区杉尾、日向地区の盛り土規制区域「砂防指定地」に無許可で造成された巨大盛り土に関し、静岡県は19日、人家への土砂流出の危険性を軽減するため、造成業者に代わって盛り土を是正する行政代執行の手続きに入る方針を固めた。複数の関係者が明らかにした。県は4月3日に県砂防指定地管理条例に基づき業者に原状回復命令を出したが、期限の5月19日までに業者が対応しなかった。
 県は地質調査を実施済みで、杉尾、日向の盛り土はいずれも安定性が確保されていないと判断している。土砂量は杉尾が熱海土石流で崩落した量とほぼ同じ5万1千立方メートル、日向は約7倍の37万5千立方メートル。杉尾は平均勾配23度の急斜面に造成され、下流側の人家まで約700メートルと比較的近い。県は日向よりも杉尾の方が危険性が高いと判断していて、杉尾での行政代執行を先行する見込み。
 県は原状回復命令で土砂の撤去を業者に要請したが、窓口の静岡土木事務所に県の求める内容の計画書は提出されなかった。
 今後、業者には最後通告に当たる戒告書を送付し、行政代執行で盛り土をどのように是正するのか具体的な検討に入る見通し。梅雨を控え、現地での大型土のうや観測機器の設置など応急対策も視野に入れる。
 日向の盛り土を巡っては県が造成初期の2006年、業者に原状回復を求める行政処分の命令案を検討したが、命令や行政代執行を見送った。その後も土砂搬入は続き、盛り土は全国最大級に巨大化した。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞