ネコ版フードバンク始動 浜松の団体、多頭飼育の崩壊防止へ 余った餌、必要な飼い主に

 浜松市の動物愛護団体「捨て犬!捨て猫!ゼロの会」が一般家庭で余った市販のキャットフードを募り、多頭飼育の飼い主や地域の野良ネコに餌を与えるボランティアに贈るネコ版フードバンクに取り組んでいる。支援をきっかけに、多頭飼育崩壊の未然防止につなげたり、飼い主のいないネコの不妊手術の協力を得たりする。

キャットフードを持参した協力者を迎える成瀬正子さん(左端)ら=2月下旬、浜松市内
キャットフードを持参した協力者を迎える成瀬正子さん(左端)ら=2月下旬、浜松市内

 「フードにゃんド」と銘打った事業で、2月からキャットフードの受け付けを始めた。同団体は過去の多頭飼育崩壊した家庭の支援を通じ、社会からの孤立や生活困窮との関わりを実感した。餌代の負担軽減とともに、早期に飼い主から助けを求められるような信頼関係を築き、飼育放棄による野良ネコの繁殖や殺処分を防ぐ。
 「餌やりさん」と呼ばれる地域ボランティアも支援対象にする。野良ネコの餌付けについては無責任との批判もあるが、同団体の成瀬正子事務局長(58)は「弱いものを助けたいと思うのは人間の本能。餌やりさんが社会的に弱い立場の人であれば、ネコに共感し、依存の関係になっていく」と説明する。
 同団体は浜松市を含む県内の多くの市町が導入している野良ネコの不妊手術の助成金制度を紹介するなど、適切な管理を促す。
 集まったフードはこれまでに、3軒に渡した。同市西区の女性(58)は「近所に多頭飼育の高齢者がいて、自分が餌を買って届けたこともある。同じように困っている人がいるなら力になりたい」と活動に共感する。
 3月からは、同団体が月に2回開く保護ネコの譲渡会の中でフードを受け付ける。成瀬事務局長は一般家庭から広く物資を募ることで「恵まれない飼い主がいる現状を知ってもらい、ネコの好き嫌いではなく、地域の課題として支援が広がってほしい」と期待する。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞