ボーリング湧水「説明が不正確」 静岡県、JRに意見書【大井川とリニア】

 静岡県は3日、リニア中央新幹線トンネル工事でJR東海の高速長尺先進ボーリングの湧水量に関する説明は不正確な表現があるとして、適切な説明を求める意見書を同社に提出した。JRが過去に示した計算式に当てはめると、同ボーリングの湧水量はトンネル先進坑の湧水量の約63%に上るという。
 JRは、山梨県から静岡県境に向けて実施する同ボーリングの削孔(さっこう)断面積は約0・01~0・1平方メートルで、先進坑の約35平方メートルに比べて0・03~0・3%と小さいため、「中下流域(の河川流量)に与える影響は小さい」(金子慎社長)と説明していた。
 ただ、JRが2019年3月の県専門部会で、県内で実施する同ボーリングの管理値設定根拠を説明する際に使用した計算式で県が試算したところ、山梨県で実施するボーリングの湧水量は先進坑の湧水量の63%になったという。流出期間を仮に10カ月とした場合、流出量は212万立方メートルになるとし、「口径の小ささから想起されるような少量になるとは限らない」と正確な説明を求めた。
 県は、JRがトンネル湧水の県外流出対策として示している田代ダム取水抑制案についても、ダムを管理する東京電力リニューアブルパワー(東電RP)から2月8日に情報提供があったとしてJRに確認を求めた。JRが冬場の発電施設維持流量の毎秒0・81トンの取水を考慮せず案の実現性を検証していることについて、東電RPは「取水量ゼロを前提とした協議は行っていない」との認識を示しているとし、同流量を考慮しても案の実現が可能か問いただした。

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