静岡県内の新幹線停車 リニア部分開業でも増える? 品川―名古屋間の場合、国が調査へ

 リニア中央新幹線開業の経済効果を巡り岸田文雄首相が、静岡県内の東海道新幹線の停車頻度増加に関する調査を今夏をめどにまとめる方針を示したことに関し、リニアの全線開業時に加えて品川―名古屋間の部分開業段階でも停車増の調査結果を示すのか県内関係者が注目している。事業者のJR東海は2010年の国の会議で、名古屋開業段階の東海道新幹線「ひかり」、「こだま」の停車増に言及したが、その後の新型コロナウイルス下で乗客は減少した。リモート会議などが定着する中、新幹線需要への影響が指摘されている。

静岡空港新駅整備後の東海道新幹線ダイヤ検討パターン
静岡空港新駅整備後の東海道新幹線ダイヤ検討パターン
リニア開業後の東海道新幹線運行本数イメージ
リニア開業後の東海道新幹線運行本数イメージ
静岡空港新駅整備後の東海道新幹線ダイヤ検討パターン
リニア開業後の東海道新幹線運行本数イメージ

 「(リニアの)名古屋開業の時点で(東海道新幹線の)名古屋までの中間駅ではひかり・こだまが増えるので便利になる」。リニアのルートなどを議論した10年5月の国土交通省交通政策審議会小委員会でJR東海の金子慎社長(当時常務)が明言した。
 金子社長はリニア開業後の収入想定に関する資料の中で、名古屋までの開業時点で東京圏―名古屋の「のぞみ」利用者のほか、大阪圏など名古屋以西のぞみ利用者も大半がリニアに移ると推定。東海道新幹線ダイヤに余裕ができ、のぞみとひかり・こだまの運行本数の割合は「のぞみが中間(半分)ぐらい」になると説明した。
 ただ、JRはそれ以降はダイヤに関する具体的な言及をしていない。リニアと関係なく静岡駅のひかり停車頻度を倍増するよう求めてきた静岡商工会議所の石川真巳専務理事は「停車増が早く示されることに越したことはない」と、今回の国の調査結果に期待する。
 一方で懸念も残る。JR東海の有価証券報告書によると、コロナが直撃した21年度の東海道新幹線座席利用率は33・4%。22年度は回復傾向にあるが、中間駅の需要が少なくともコロナ前の水準に戻らなければ、リニア開業後にひかり・こだまが増えるとは限らない。公共政策が専門の経済学者、橋山礼治郎アラバマ大名誉教授(掛川市出身)は「東海道新幹線の運行本数を増やしても赤字が増えるだけだ。急に県民の利用が増えるということはない」と指摘する。

のぞみ半減なら新駅可 静岡空港へ整備構想 県が調査まとめ
 東海道新幹線の真上にある静岡空港(牧之原市)に新駅を整備する構想を掲げている県は、リニアの全線開業後に新駅を含めたダイヤ編成が可能かを調べ、のぞみの運行本数が現行(2019年の調査当時)の半分程度の1時間あたり5本になれば、新駅を設置しても新幹線の高速性は維持できるとする調査結果をまとめた。5日までの県への情報開示請求で分かった。
 19年のダイヤのうち、1週間で最も運行本数が多い金曜日の午前8、9時台と午後5、6時台のケースで検討した。のぞみの運行を1時間あたり5本にした場合、新駅にこだまが3本停車しても、東京―新大阪間の所要時間は、現行と比較してひかりは1~11分、こだまは5~20分短縮され、高速性を維持することが可能とした。
 のぞみの運行本数は、リニア全線開業後にのぞみの旅客数は半数以上減少するとした国の公開資料の予測に基づき想定した。のぞみが4本なら、空港新駅にひかり1本の停車を加えても高速性は維持できるとした。調査は東京都の建設コンサルタントに委託し、20年3月にまとめた。
 JR東海はリニア開業後、東海道新幹線の新駅設置の余地が高まるとする一方、静岡空港新駅については新幹線の速達性が低下するなどの理由で否定的な考えを示している。

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