リニア工事 湧水影響調査、JR指導を 静岡県が国交省に文書送付
静岡県は30日、リニア中央新幹線トンネル工事に伴う自然環境への影響について、12日に県庁で開催した県有識者会議の生物多様性専門部会で出た意見を文書にまとめ、国土交通省に送付した。トンネル湧水の水質・水温の変化が生態系に及ぼす影響についてJR東海に調査や対応策を指導するよう要望した。
2022年12月に開かれた同省の第6回専門家会議で、何を議論すべきかを整理した論点案が示されたことを受け、今後の議論に反映してもらおうと県専門部会委員の意見を聞いた。
文書では、導水路トンネルなどを通じて大井川に戻すとしているトンネル湧水の水質・水温について、法令で定められた基準ではなく、生態系に影響が生じないことを基本とした上で、JRが定める基準値の適否を判断するよう求めた。
残土置き場については、JR提示案には課題があり、県の地質構造・水資源専門部会で協議中のため、同案を前提に環境面の検討を進めるのは適当でないと伝えた。代償措置の議論は「(影響の)回避、低減の具体的な方策や効果を最大限検討、検証し、それでも回避・低減できない場合」に限るべきとした。