花畑、地下水 関係調査を 国交省専門家会議、ボーリング提案

 リニア中央新幹線工事に伴う南アルプスの生態系への影響を協議する国土交通省専門家会議は7日、第4回会合を都内で開き、高山植物の花畑の保全方法について意見を交わした。9月上旬の現地視察に参加した大同大教授の大東憲二委員(環境地盤工学)は、工事による水位減少が懸念される深層部の地下水と植物への水分供給の関係性を調べるため、ボーリング調査を行うよう提案した。

国土交通省専門会議で委員が示した主な意見 ※は県有識者会議委員
国土交通省専門会議で委員が示した主な意見 ※は県有識者会議委員

 大東委員は「植物は表層の土壌の水分で生きている」と指摘。表層土壌の下に不透水性の岩盤などが存在し、深層部の地下水との関連がないと実証するためにも調査すべきと主張した。
 産業技術総合研究所招へい研究員の丸井敦尚委員(地下水学)は、植物が吸い上げる水が雨水などによるものかを調べるため、表層部にたまった水の成分分析の実施を提案。産業技術総合研究所グループ長の保高徹生委員(リスク学、地盤環境工学)は、雨水と表層部の土壌水分との関係性を比較するため、雨量計の設置の検討を求めた。
 北海道大教授の中村太士座長(生態系管理学)は、専門分野の委員と相談し、今後の会議で正式に提案する意向を示した。
 JR東海の宇野護副社長は会議後、記者団の取材に対し「できるものは基本的に何でもやっていく」と提案事項に関して前向きな姿勢を示した。

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