江戸期絶景、緻密に 静岡県立美術館で企画展 富士山、三保松原を描写

 静岡市駿河区の県立美術館で企画展「絶景を描く―江戸時代の風景表現―」が10月23日まで、開かれている。富士山や三保松原など古来芸術や文学の源泉となった風景を題材にした名品が並ぶ。

富士山と三保の松原など江戸時代の絶景を描いた名品が並ぶ企画展=静岡市駿河区の県立美術館
富士山と三保の松原など江戸時代の絶景を描いた名品が並ぶ企画展=静岡市駿河区の県立美術館

 富士山を囲む雲を繊細な墨使いで描いた狩野探幽の「富士山図」(1667年)、南画家中山高陽が熱海市の日金山からの眺望を基にした「八州勝地図」(1777年)など全63点を展示した。円山応挙に学んだ原在正による全14巻「富士山図巻」の第7巻(1796~1800年頃)は、久能寺(現鉄舟寺)から望む富士山と三保松原を描き、松林や海に浮かぶ小舟などに緻密な描写が見られる。
 西洋や中国の絵画から受けた影響や印刷技術の発達を背景にした、日本の絵師の画法の変遷も紹介している。
 浦沢倫太郎主任学芸員は「江戸期の絵師はデフォルメや誇張を取り入れ、絵画的な美や迫真性を追究した。一部の作品には、当時の絵師と同じ視点で現在の風景を撮影した写真も添えた。見比べを楽しんでほしい」と話した。

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