静岡人インタビュー「この人」 福井誠二さん(牧之原市)木のあそびもの作家として活動する

 小刀と彫刻刀を使って木を削り、オリジナルのおもちゃを手掛ける。11年前に牧之原市に移住して以降、市内に工房「フクムク」を構え、木遊びや木削りのワークショップを開催するほか「木のあそびもの作家」として県内外の保育園などに出向き、自作のおもちゃを活用したイベントや教室を開催する。浜松市南区出身。53歳。

福井誠二さん
福井誠二さん

 ―活動の原点は。
 「大工だった祖父や鉄工所を営んでいた父の影響で、幼少期から木を削ったり何かを作ったりして遊ぶことが好き。当時感じていたわくわくした気持ちを片時も忘れることはなかった。大人になり、たくさんの経験をしてきたが、あの時以上におもしろいと感じた瞬間はないと思い、現在の活動を始めた」
 ―活動前は何を。
 「高校を卒業し、進学で上京した。店舗設計や雑誌のイラストレーターなどデザイン系の職種を幅広く経験したほか、アウトドアのツアーガイドの仕事にも携わった。その後、子育てを機に牧之原へ移住した」
 ―心掛けていることは。
 「技術が進歩していく中で、おもちゃにも多様な機能が兼ね備わるようになった。しかし不便を楽しむことこそが、遊びの本来の姿ではないかと思う。作り手側が遊び方を教えるのではなく、どう遊ぶのかを考えてもらう。こうした時間を、子どもたちの生活の中に創出することを活動の軸として置いている」
 ―今後の抱負を。
 「遊び心は人生を豊かにする。子どもたちには遊びから自由に発想することの楽しさや大切さを知ってもらいたい。大人の方々にも遊びに対する価値観を見つめ直すきっかけになるような働きかけをしていきたい」

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