ルート決定過程 開示必要感じず JR社長会見【大井川とリニア】

 JR東海の金子慎社長は24日の記者会見で、南アルプス(大井川上流域)を貫通するリニア中央新幹線のルート選定の調査情報を新たに開示する必要性はないとの考えを明らかにした。川勝平太知事が22日の記者会見で、詳細な決定過程を示すよう同社などに求めていた。
 金子社長は県から直接の要請は受けていないとした上で、南アルプスルートの整備計画が国土交通省の交通政策審議会を経て決定されたと説明し「審議会は公開だったと記憶している。情報開示と言われてもどういうことなのか」と疑問を呈した。認可を受けた具体的なルートは、環境影響評価(アセスメント)に基づき適切な手順で決定したと改めて強調し「(知事が)どういうことを指摘されているか分かりにくい」との認識を示した。
 長野県のリニアトンネル工事で8日に発生した負傷事故を公表しなかったことについては、労働基準監督署への届け出や近隣自治体への報告を行っているとして「適当だと思っている」と述べた。
 2022年度のリニア関連の設備投資額は21年度比約13%減の3750億円と明らかにした。静岡工区の関連費用は「(県との話し合いが)前に進めば予算措置する」とした。

 ■会見一問一答 トンネル事故対応適切
 24日に行われた金子慎JR東海社長の定例記者会見での主なやりとりは次の通り。
 ―川勝平太知事はルート決定過程の開示を求める考えを示した。どう対応するか。
 「直接聞いていないので分からない。静岡県を通るルートは、国土交通省交通政策審議会で議論され、整備計画の決定に至った。審議会は公開だったと記憶している。私どもに情報開示と言われてもどういうことなのか」
 ―知事は水資源への影響調査や説明が「ずさんだ」と問題視した。どう受け止めるか。
 「認可を受けたルートは、環境影響評価(アセスメント)で決まり、必要な手順を踏んでいる。(専門家会議の)大井川水資源検討委員会の中には県もオブザーバーとして入っていた。どういうことを指摘されているのか分かりにくい」
 ―2022年度の設備投資額が9年ぶりに減少した。静岡工区の停滞が理由か。
 「静岡の工事費は入れていない。(県との話し合いが)前に進めば予算措置する。静岡工区が原因で減ったということではない」
 ―長野県のトンネル工事で8日に発生した負傷事故をなぜ公表しなかったか。
 「労基署に届け出て、関係自治体の(事故報告の)要請にも答えている。この取り扱いが適当だと思っている」
 

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