社説(2月20日)世界緑茶協会20年 使命感持って新時代へ

 静岡県を中心に組織された公益財団法人の世界緑茶協会(会長・川勝平太知事)は設立から20年がたった。茶の情報発信のほか、3年に1度県が開催する「世界お茶まつり」にも参画し、県が掲げる「茶の都」づくりの一翼を担ってきた。
 県財産を引き継いだ経緯や県職員の出向など、県とのつながりが強すぎるきらいがあり、外郭団体の域を出られないのが実情だ。団体名に冠した「世界」にふさわしい活動が十分にできているか、検証が必要な時期にきている。
 茶の産出額や急須で入れる「リーフ茶」の製品出荷額が先細りする中、静岡茶は技術革新や海外市場に活路を見いだそうとしている。世界緑茶協会は、行政や業界と役割分担し、新たな需要を喚起する使命感を持って新時代へ進んでほしい。そうすることで、持続可能な静岡茶業の一翼を担える。
 協会の収入は2020年度、約6割が県からの補助金・委託費だった。自立性や創造性を保つためにも、県議会のチェックは欠かせない。
 本県茶業は生産、商工とも再生へ正念場にある。協会設立のころに比べ、本県の茶の産出額は7割減の203億円となり、茶問屋などの仕上げ茶製品出荷額は約600億円減った。
 県の次期茶業振興計画(22~25年度)は茶産出額の回復とともに輸出増を柱にする方向だ。世界緑茶協会の出番も増えよう。茶業界は目標達成に総力を挙げなければならない。
 県は、業種や企業の枠を超えてアイデアや技術を持ち寄るオープンイノベーション(OI)の手法を茶業振興策にも導入し「ChaOI[チャオイ]プロジェクト」と呼んでいる。
 県の22年度当初予算案の茶関連事業費は前年度比3倍超の15億円が計上された。増えた要因は新茶業研究センター「ChaOI―PARC[パーク]」建設工事(10億円)のほか、第8回世界お茶まつり開催費(9200万円)、輸出向け有機茶支援拡充(5千万円)などで、世界緑茶協会との関わりもある。ChaOIプロジェクトの参加企業の交流やマッチングは協会が受託している。
 世界緑茶協会は第1回世界お茶まつりの開催に合わせ01年9月、任意団体として設立。06年に財団法人に再編された。この時、「静岡県茶文化センター(仮称)」の建設を目指しながら前年解散した県茶文化振興協会の残余財産約4億円を継承し、JR静岡駅南口至近のビルに事務所を置いた。
 設立20年は費用対効果を検証する節目になろう。県直営の「茶の都ミュージアム」(島田市)もオープン5年目を迎える。

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