避難学生の資金集め奔走 ウクライナ支援で大学【スクランブル】

 長期化するロシアのウクライナ侵攻を巡り、日本に避難した学生らを支援するため、大学が資金集めに奔走している。学費をクラウドファンディングで募った大学もある。学生らの生活費の工面も課題となっており、大学は卒業させるまで企業や支援団体に頼らざるを得ない状況だ。

教授(左)と話すダナ・ボイエワさん(右)とマリア・チェメリスさん=7月、東京都中野区の明治大中野キャンパス
教授(左)と話すダナ・ボイエワさん(右)とマリア・チェメリスさん=7月、東京都中野区の明治大中野キャンパス
ダナ・ボイエワさん(右)とマリア・チェメリスさん=7月、東京都中野区の明治大中野キャンパス
ダナ・ボイエワさん(右)とマリア・チェメリスさん=7月、東京都中野区の明治大中野キャンパス
授業を受けるダナ・ボイエワさん(左手前)とマリア・チェメリスさん(中央)=7月、東京都中野区の明治大中野キャンパス
授業を受けるダナ・ボイエワさん(左手前)とマリア・チェメリスさん(中央)=7月、東京都中野区の明治大中野キャンパス
大学へのウクライナ避難民受け入れ人数
大学へのウクライナ避難民受け入れ人数
教授(左)と話すダナ・ボイエワさん(右)とマリア・チェメリスさん=7月、東京都中野区の明治大中野キャンパス
ダナ・ボイエワさん(右)とマリア・チェメリスさん=7月、東京都中野区の明治大中野キャンパス
授業を受けるダナ・ボイエワさん(左手前)とマリア・チェメリスさん(中央)=7月、東京都中野区の明治大中野キャンパス
大学へのウクライナ避難民受け入れ人数

 ▽機会
 「ウクライナでは得られない教育を受ける絶好の機会だ」。東京都にある明治大中野キャンパス。科目等履修生のダナ・ボイエワさん(21)とマリア・チェメリスさん(20)は7月、日本人学生とともに国際日本学部の「日本社会システム論」の英語の授業に真剣な表情で耳を傾けた。侵攻から逃れるために家族と離れ来日した2人は学費や寮費の支援を受けながら勉学に励んでいる。
 明治大は昨年2月の侵攻以降、7人の履修生を受け入れるが、生活費などは企業や団体が一部負担している。支援団体によると、アニメなど日本文化に関心がある人が欧州でなく日本に避難してくる場合が多いという。文部科学省によると、8月23日時点で国公私立大82校が計371人の学生らを受け入れている。うち7割は履修生や聴講生らでこのままでは卒業資格を得られない。
 ▽不足
 国際基督教大では昨秋に履修生だった学生5人が学内選考に合格し、大学生や大学院生として学んでいる。学費や寮費は大学負担。ただ5人が卒業するまでには約2600万円の費用がかかるため、4月からクラウドファンディングを募り、約1070万円を集めた。担当者は「費用はまだ不足しているが、学生全員を卒業させるまで支えたい」と意気込む。
 企業も手を差し伸べている。資生堂は従業員らから集めた2億円近くを昨年3月以降に国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に寄付した。着の身着のままで避難した学生らに対し、スキンケア製品も無償で提供。ドイツのIT企業SAPの日本法人は渡航費や宿泊費を負担した。
 ▽言葉の壁
 日本財団は、親族など身元保証人がいる避難民を対象に1人当たり年間100万円の生活費を支給している。学生を含む支給対象者から実態を聞いたところ、8割程度が日本語の日常会話が難しいことが判明。国と自治体、民間が連携して日本語の教育機会を増やすことで、経済的な自立につなげる必要があるとする提案書を19日発表した。
 「日本語を上達させて日本で仕事を見つけたい」と願うボイエワさん。避難民を支援する一般財団法人パスウェイズ・ジャパンの折居徳正代表理事は「侵攻の長期化は避けられず、日本語を習得して働けるようになるまで責任を持って支える必要がある」と話している。(共同=吉田尚弘)

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