サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行
静岡シネ・ギャラリーでは12月26日から2026年1月15日まで上映。2024年フランスの年間興行収入第1位を記録。1080万人動員は、国民の7人に1人が見た計算になる。人気コメディアンのアルテュスが監督、脚本、主演を務めた。宝石泥棒の父子が警察の追跡から逃げようと身を隠したのは、障害のある若者たちのサマーキャンプ。障害者と介助者になりすました父子の心は、若者たちとの笑顔にあふれた交流で変化していくが-。オーディションで選ばれた、実際に障害がある11人のアマチュア俳優たちが共演。(川口さんコメント)
年末年始にふさわしい、ほっこりするハートフルコメディー。宝石泥棒の二人が、たまたまサマーキャンプに出発しようとしていた障害者団体の職員に参加者と間違えられる、というのがスタートです。
個性豊かな障害者の方々が大勢出ていて、にぎやかな日々を過ごしているうちに二人の心がちょっとずつ柔らかくなっていく。ただ、警察の捜査の手も伸びてくる。さて、というお話です。
アルテュス監督が自分で主役を演じています。彼は子供の頃から障害がある人たちの世界観や独自の視点にとても引かれてきたようですね。パラリンピックやNGO「ハンディキャップ・インターナショナル」のアンバサダーも務めていました。だから、あえて実際の障害者を登場させている。日頃から彼らに寄り添い、きちんと社会の一員として認識してるからこそ、こういう映画を撮れるんだと思います。
本国では知らない人はいないぐらいの作品です。日本語字幕が読めれば、小学生でも分かるから、親子で見てもらいたい。見終わった後、きっと誰かと話をしたくなります。
ボディビルダー
静岡シネ・ギャラリーでは2026年1月2日から15日まで上映。監督・脚本はハリウッドきっての若手注目株イライジャ・バイナム。ティモシー・シャラメとマイカ・モンローが主演の「HOT SUMMER NIGHTS/ホット・サマー・ナイツ」(2017年)に続く、長編監督2作目。米国の片田舎で祖父を介護しながら暮らす青年キリアン・マドックス(ジョナサン・メジャース)は、一流ボディビルダーを目指して孤独で過酷なトレーニングに励む。身体は悲鳴をあげ、社会の不条理と孤立が彼の精神をむしばむ。そしてある事件が-。(川口さんのコメント)
正月からバチンと食らうような、インパクトがある作品です。
主人公キリアンは雑誌の表紙になることを夢見る青年。友達もいない、恋人もいない。おじいちゃんと暮らして、異常な量の食事を摂取して、ジムで鍛え上げる。変化のない毎日ですが、夢に取りつかれるあまり、現実世界と乖離してしまっている。気分の浮き沈みが激しくて、いつも不安定な状態です。
気になる女の子との初デートもうまくいかない。自分の何がダメだったのか分からないので、さらに深い孤独を味わいます。筋肉を維持するためにステロイドを打つようになって、精神の苦痛に肉体の崩壊が加わる。人に認められたい、称賛されたいという思いが募って暴力性に火がついてしまう。もはやボディビル版「ジョーカー」です。
サイコロジカルなドラマですが、ラストに明確な答えは提示されない。示唆に富んだ結末になっているので、見た方それぞれに受け取り方がいろいろだと思います。承認欲求の行き着く先なのか。精神が崩壊した後の回復の難しさ、困難さなのか。
キリアン役のジョナサン・メジャースの、役作りを超えた肉体も見どころです。ちょっと尋常じゃない。演技も素晴らしい。コミュニケーションの不器用さ、子供のような純粋さ、爆発的な怒りが目に出ています。孤独感とか狂気性の表現がすごいなと思いますね。
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■静岡シネ・ギャラリー
住所:静岡市葵区御幸町11-14 サールナートホール3階
電話番号:054(250)0283






































































