静岡県内で一番人口が少ない町、伊豆半島の松崎町には町の歌「松崎町のうた」があります。歌をきっかけにした新な「居場所」もでき、町民の間に音楽の輪が広がっています。
松崎町を拠点に活動するプロのソプラノ歌手、曽根妙子さんです。2018年、「松崎町のうた」をつくるプロジェクトにかかわりました。
もともとは文化庁による地方向けのプロジェクトのひとつでした。全国各地にある自治体のうたですが、松崎町は特徴があります。
<曽根妙子さん>
「『松崎町のうた』とは、初めにメロディーができた曲で、町民のみなさんに歌詞を作っていただききたい。『松崎町のうた』を通して、町の人が歌詞を作ったり、歌うことで、地域活性化につながるのでは」
仕上がったメロディーに町民から寄せられた歌詞をのせていきました。町民それぞれが作詞し、歌は120通りもあります。
<曽根妙子さん>
「きょうは本当にきれいな富士山が見えるんですよ、いや最高」
町を一望できる牛原山。歌では豊かな自然が表現されています。
<曽根妙子さん>
「のどかな町だからこそ、美しさが見えるんだろうな」
うたづくりにかかわった曽根さんは松崎に惹かれ、移住しました。うたは住民にも浸透しています。2週間に1度開かれる松崎のうたの練習会です。結成から5年が経つ今も広がりをみせています。
<参加者>
「歌の会があることで(町は)徐々に元気になっているのかな。人と人がつながっていくという輪ができている。それがありがたい」
<松崎町のうたを育てる会 石田初恵代表>
「子どもや大人の居場所のようなものができて、『歌いたい人は歌えるよ』『本を読みたい人は読めるよ』とかいうようなものができたらいいな」
松崎のうたを中心に広がる「音楽の輪」。いずれ大きな力になると信じ、歌い続けています。
<LIVEしずおか 水野涼子キャスター>
曽根さんの歌唱力が町民に響いたのはもちろんですが、町民自ら歌詞を考えたことで、自分の町の良さに改めて気づき、歌を守るという動きにつながっています。ソプラノ歌手の曽根さんは月に1度、自主的に開くコンサート中で、松崎町のうたを広く発信し、町民グループのみなさんは35の町内会を回りながら、住民への浸透を図っています。