2025年も苦しいシーズンが幕を開けてしまいそうです。寒波が抜けて気温が上がり、花粉の飛散が2月26日以降、本格化する予想です。今シーズンの飛散量は、平年の1.8倍に上り、過去10年で最大規模になる可能性も出ています。
花粉症の方にとっては、見るのも聞くのも嫌なニュースかもしれませんが、その日は確実に迫ってきています。
<静岡県森林・林業研究センター 阪本森人さん>
「先端についているのが雄花だが、パンパンで、もうじき飛びそうという感じ」
風に揺られるスギの枝。大量の花粉が飛び立つその時を静かに待っています。静岡県は2024年度からスギ花粉の観測点を30地点に増やし、2024年11月に観察した結果、2025年は花粉が一気に増えると結論付けました。
<阪本さん>
「見てる段階では平年より多かった。わたしも花粉症なのでこれはまずいと思った」

静岡県は秋に花粉の発生源となる雄花の数を確認していますが、2024年秋は過去10年で最大に。平年に比べ1.8倍、前の年に比べると2.7倍の着花が確認されました。スギ花粉は1年ごとに飛散量が増減する傾向があり、順番通りにいけば2025年は飛散量が多い「表年」。そもそも花粉が増える条件が揃っているそうです。

<阪本さん>
「2024年は非常に暑い夏で、日差しも強かったのでスギにとってはいい条件だった」
静岡県内は強烈寒波が去って、2月26日以降、気温がぐんぐん上昇する予報で、それに伴い、花粉の飛散量は一気に増えると予想されています。
もはや、国民病の様相を呈している「花粉症」。行政はただ、手をこまねいているわけではありません。
<静岡県森林・林業研究センター 袴田哲司森林資源利用科長>
「パッと見るとほぼ同じだが、スギの雄花がつくが、その中に花粉がない」

静岡県森林・林業研究センターは、およそ10年かけて花粉症対策にも有効な「無花粉スギ」を開発しました。花粉の発生源となる雄花を比べてみると、一般的なスギには粉状の花粉の粒が確認できますが、無花粉スギには、それがないのが分かります。ただ、これは即効性のある対策とは言えないのが実情です。
<袴田科長>
「無花粉スギが出てきたので、それを徐々に植えていくことになる。すぐに世の中から花粉がなくなるわけではない」
数十年単位で進める必要がある無花粉スギへの植え替え。花粉症の人にとって憂鬱な季節がやってきますが、薬やマスクを有効に使うことが毎日、求められそうです。