埼玉県で起きた道路の陥没事故を受け、静岡県内各地で下水道管の緊急点検が進んでいます。私たちの生活に不可欠なインフラ整備が急務となる中で、業界の人手不足が大きな壁となっています。
浜松市の職員がカメラを差し込みチェックしているのは、地下にある下水道管の内部。2023年から規模の大きい下水道管約73キロメートルを独自に点検をしています。
1月28日、埼玉県八潮市の県道で起きた大規模な道路の陥没。下水道管の腐食が引き起こしました。発生から1週間以上が経ったいまも、落下したトラック運転手の救出は難航し、周辺住民の生活にも大きな影響が続いています。
下水道管が原因とみられる道路の陥没は、近年、浜松市内でも月1回のペースで報告されているといいます。一般的な下水道管の耐用年数は50年とされていますが、浜松市は、全体の5%がその期限を超えています。
インフラ整備が急務となる中、業界は危機感を抱いています。浜松市に本社を置く東海下水道整備は、各地の下水道管の調査や工事を請け負っています。
直接、人が入って作業できない雨水が流れる管や住宅からの排水管が本管に合流する部分を映像を頼りに、地上から専用の機械を操作して慎重に施工します。どの作業もミリ単位の調整が必要で、知識と経験がモノを言う職人技です。
<東海下水道整備 松本正一副社長>
「やりましょう、と言って(誰でも)できる作業ではないので、テキパキできるようになるまでは数年かかる。結局機械が良くなっても、それを操るのは人間なので」
ただ、人材育成の前に、そもそも若い人手が足りてないのが業界の現状だといいます。
<東海下水道整備 竹原功代表>
「我々『下水道』はイメージが良くないのか、新卒はまったく入る気配がなくて。入ってくれれば、全社を挙げてその人を育てていくという姿勢でいるが、まず入口、入ってくれる人が少ない」
インフラ整備にのしかかる人手不足の問題は待ったなしの状態で、業界では若手の獲得と育成の模索が続いています。