「当たり前だったところがなくなることは寂しい」地域唯一の産科で“最後の出産” 分娩取りやめで子育て世代に広がる不安

伊豆半島南部の賀茂地域で唯一、出産を受け入れてきた静岡県下田市の病院で最後の出産を終えた女性が2月2日、退院しました。この病院では今後、分娩対応はとりやめるため、周辺地域との連携がさらに求められることになります。

「杏梨ちゃん、目を開けて~」
「オギャー」

先週、産まれた女の子木田杏梨ちゃん。木田崚介さん(25)と歩美さん(23)夫婦の第1子で、下田市の臼井医院で産まれた最後の赤ちゃんになりました。

<木田歩美さん>
「私も旦那もここで、臼井さんで生まれて、自分の娘もここでお産できたことはうれしく思う。臼井先生も今までの努力があって、いろんな悩みがあっての決断だと思うので、先生の意思が固いな、大事だなと思う」

臼井医院は1964年の開院以来、出産業務を担ってきましたが、少子化の影響で件数が減り、最近は赤字経営が続いていました。

<臼井医院 臼井文男院長>
「このままやっていてもなかなか、事業継続というのは(難しい)。医療レベルの維持のために医療機械のコストが必要。それを無理すると患者のためにならない。皆さんにはご理解いただきたい」

伊豆半島南部の賀茂地域で唯一、出産できる病院で「子育て世代」には不安が広がります。

<木田歩美さん>
「賀茂地域で出産できなくなることに対しては、今後、人口減少にもつながるし、もし(2人目を)妊娠したとしたら、次、賀茂地域の外まで通うとなると、相当の体力と、もし何かあった時の不安が大きい」

「最後の出産」を終えた木田さん親子が2日、退院。長年現場を支えてきた看護師も複雑な思いです。

<2006年から勤務する看護師>
「出産するところが当たり前だったところが、なくなるということは寂しいというか」

臼井医院は今後も妊婦の健診を続け、臨月が迫ったら、静岡県伊東市や伊豆の国市の医療機関に引き継ぐことになります。

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