災害の被害を把握する手段としてドローンが活躍しています。静岡県熱海市では警察がドローンを扱う地元企業と連携。伊豆半島の特徴を熟知したパイロットの存在が大きな力になっています。
静岡県熱海市で行われた消防と警察による救助訓練です。見通しが悪い現場で、車の中に人が取り残されている想定です。
「車両が見えてきましたね」
「車両確認できました」
「普通自動車が一台です」
「何色」
「シルバーです」
伊豆半島は急斜面が多く、災害などによる被害の把握にドローンが欠かせなくなっています。
<熱海警察署 岡野亮副署長>
「人の立ち入れない場所に安全に入って情報を収集できるドローンは非常に重要」
熱海警察署は6年前、ドローンを扱う地元の建設会社「東豆」と協定を結びました。この会社では測量や点検などで複数のドローンを使っています。
<東豆 出口直樹代表>
「主に空撮をメインに使っていて、映画も撮れるという謳い文句のドローンです」
この映像は警察が行った客船でのテロ対策訓練の様子です。船の外からでも、警察官が犯人を捕まえる様子が確認できます。さらに、甲板にある爆発物を捜索する訓練ではー。
<東豆 出口直樹代表>
「だんだんと近寄っていくと、袋の中に時計らしきものが入っている。時計の針が今、何時を指しているか、配線も見える」
2021年、熱海市伊豆山で起きた土石流災害。警察は東豆に撮影を要請し、発生から6時間後にはドローンによる撮影が行われました。
<東豆 出口直樹社長>
「特に災害の時は一刻を争う時が多いですので、地元にいる人間が最も力を発揮する。自然条件や地形が(地域ごとに)違うので、常に把握している人とそうでない人の違いは、災害の時には顕著に現れる」
警察からの要請はこの熱海土石流災害が初めてでしたが、日頃重ねてきた訓練の成果が発揮されました。
<熱海警察署 岡野亮副署長>
「地元だけで情報収集がまずできるというのは、その後の救出活動にも非常に重要なのかと考えています」
ドローンを飛ばすには国への機体登録やライセンスの取得、操縦技術の習得など高いハードルがあります。
記者がドローンの操縦を体験しました。
<伊東支局 天野貴弘記者>
「不安定ですよね」
<東豆 出口直樹社長>
「パニック状態にならないように繰り返しの練習が必要」
東豆は地元でドローンを扱える人を増やそうと、ドローンスクールを立ち上げました。
<東豆 出口直樹社長>
「地元でドローンパイロットが1人でも多くいれば、例えば1人1人がその地にいなくても、現地に赴ける確率がすごく高くなる。緩やかな連帯が非常に大事」
東豆の出口社長は、地元でドローンを扱える企業などが増えて警察と協定を結ぶ企業が多くなればその分、災害への対応力が高まるのでは、と話しています。