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静岡新聞運動部

【静岡の高校サッカー戦後史Vol.67】「史上最強」と語り継がれる1990年度の清水商業(現清水桜が丘)。総体、全日本ユースの2冠

【清水商⑫】総体連覇、ユースも制す

※2011年3月〜11月に「静岡の高校サッカー 戦後の球跡」のタイトルで静岡新聞に掲載した連載を再掲しています。年齢等も掲載当時のままです。静岡サッカー応援アプリ「シズサカ」でまとめてご覧いただけます。

1990年度全国総体決勝。ゴールを決め、ピッチ中央で喜び合う=宮城県サッカー場


選手権、総体に加え、1990年(平成2年)度、高校生年代に新たな戦いの場が加わった。クラブと高校のチーム同士が同じピッチで競い合う、全日本ユース(U-18)で、前年度のプレ大会を経て実施されることになった。

これにより、国体参加が単独校から選抜制に切り替わって以来、途絶えていた「三大タイトル」が21年ぶりに復活。90年度の清水商は、復活後初の3冠獲得に王手を掛ける。

まず総体。準決勝で磐田東、決勝で清水東を退けて県予選を突破し、本大会に進んだ。全国総体は2年連続6度目で、連覇が懸かっていた。

総体、南宇和との決勝

初戦(2回戦)は山城(京都)に4−0、3回戦は暁星(東京)に3−0、準々決勝は鹿児島実(鹿児島)に6−0と、いずれも完勝。準決勝も北陽(大阪、現・関大北陽)を寄せ付けず、2−0で下して決勝に名乗りを上げた。

主将の山田隆裕(J横浜Mなどに所属)が初戦で負傷したのをはじめ、けが人続出で苦しい布陣を強いられた。監督・大滝雅良の当時のコメントにも「スコアをみれば楽勝と感ずるかもしれないが、苦しかった」とある。だが、代役陣が見事に穴を埋め、勝ち進んだ。

決勝の相手は、前年度の準決勝で対戦した南宇和(愛媛)だった。前半4分に先手を取られたが、16分の鈴木宏和(静岡スバル)のシュートで追い付いた。

後半、大滝はけがで先発を外れていた山田を投入。19分、その山田の右折り返しを田光仁重(静岡スバル)が鮮やかに頭で合わせた。「どフリーだったので、思い切りたたきつけた」田光の会心のヘディングシュートが決勝点となり、2−1で総体連覇を達成した。

ユース代表トリオの存在感

総体に続く舞台は全日本ユース。山口(山口)交野FC(大阪)国見(長崎)を連破、決勝は前半に1年の興津大三(J清水スタッフ)、後半に2年の望月重良(SC相模原代表)が決め、習志野(千葉)を2−0で倒して初代王者に輝いた。

山田と名波浩(J磐田アドバイザー)、大岩剛(J鹿島スタッフ)がユース代表に選ばれ、このユース代表トリオを軸に揺るぎない強さを発揮して、まず総体、全日本ユースの2冠を獲得した。ストッパーを務めた宮部浩二(スポーツディレクター)は「つぶし役に徹し、ボールを奪ったらすかさず中盤に預けた」といい、チームメートの技量に全幅の信頼を寄せ、ピッチに立っていた。(敬称略)

1990年度全国総体決勝先発メンバー

GK
大石尚哉

DF
大岩剛
宮部浩二
薩川了洋
西ケ谷隆之

MF
望月重良
名波浩
鈴木宏和

FW
東海林剛
田光仁重
梅原健太郎
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