2023年5月、出産したばかりの子どもを殺害して海岸で焼き、遺棄した罪に問われている母親の裁判員裁判で、精神鑑定をした弁護側の医師の証人尋問が行われました。医師は母親について「特性により総合的な状況判断ができなかった」と分析しました。
殺人、死体損壊、死体遺棄の罪に問われているのは、無職の女(25)です。起訴状などによりますと、女は2023年5月、静岡県沼津市内のインターネットカフェの女子トイレで、出産したばかりの子どもを窒息させて殺害。千本浜海岸で遺体をたき火の中に入れて焼き、損壊、遺棄した罪に問われています。
10月28日から静岡地裁沼津支部で始まった裁判員裁判では、母親の注意欠陥・多動性障害「ADHD」の特性が、どの程度犯行に影響を与えたかが、争点のひとつとなっています。

29日の証人尋問で、弁護側の証人として出廷した鑑定人の医師は、弁護人からの質問に対し、母親は「ADHD」の特性に加え、幼少期からの家庭環境などの影響により、場当たり的な行動をとりやすく、判断能力が低いなどの傾向があると指摘。
犯行時の状態について、「孤立出産により、心身に大きなダメージが加わり、特性による衝動性が高まったことで総合的な状況判断ができなかった」などと分析しました。