
(山田)今日は小中高生のインターネット依存リスクの話題ですね。
(橋本)先日の静岡新聞で報じたので取り上げました。静岡県教育委員会が、県内の児童生徒およそ1万6000人が受検した「インターネット依存度判定システム」の2022年度の結果を公表しました。リスクなし、中リスク、高リスクの3段階で判定され、高校では半数の生徒が中リスクまたは高リスクと判定されたということです。
スマホやパソコンはなくてはならないという方が大勢いると思うんですが、便利になる一方で弊害も顕在化してますよね。その1つがインターネットへの依存の問題だと思います。
(山田)これは県の教育委員会が調査したということですか。
(橋本)そうです。前々から小中学生と高校生のインターネット依存が問題になっていましたので、県教委もいろいろな対策を講じてきています。その一環として、2021年に導入したのが「インターネット依存度判定システム」です。
自分のインターネット依存度がどの程度なのかを子供が自分で気軽に判定できるように作られたシステムです。県教委のウェブサイトから、インターネットの使用度や生活への影響などに関する49の設問に答えると、総合的に依存リスクが判定されます。
「大丈夫です。あなたに依存リスクはありません」というのがリスクなし。「ちょっと接し方を見直したほうがいいですね」というのが中リスク。高リスクは「すぐにでも対応を見直した方がいいですよ」とされています。
(山田)個人的にちょっと引っかかったのはウェブサイトでやるってとこですね(笑)。それで詳しい結果はどうだったんでしょうか?
(橋本)2022年度の結果は今年10月に公表されました。希望した学校ごとに受検した計約1万6000人分について結果をまとめています。
(山田)なるほど。
(橋本)年代別に見ると、高校生はスマホやネットの使い方を見直した方がいいという中リスクの生徒が47.2%でした。
(山田)ほぼ半数ですね。
(橋本)ネットへの依存度が高く、早急に何か改善する必要がある高リスクの生徒が2.9%。中リスクの生徒と合わせると50%を超えています。保護者の方も自分の子供のインターネットの使い方は気になると思いますが、高校生全体の半分が依存リスクがあるということは、割合としては少し高い気もします。
ネット依存リスクが高まるとどうなるの?
(山田)リスクがあるというのはどういうことなんですか。(橋本)生活にいろいろと支障が出てくる可能性があります。例えば、夜中まで長時間使用していると次の日の朝、起きられなかったり、それが高じてくると学校行けなくなったりという懸念があります。あるいはスマホを触っていないと不安で仕方がないと感じるようになることも考えられます。中リスクの方はまだ弊害が顕著に出ているというわけではないけれど、だんだん影響が深刻になると、そういったリスクが生じる可能性があるので注意しましょうということです。
(山田)SNSで繋がってないと不安に感じたりとかいうとこも含めてですね。中学生はどうですか。
(橋本)中学生は中リスクと高リスクを合わせた数字が45.8%、小学生は30.6%。年代が上がるにつれてリスクが高まっているという結果でした。
小中学生であれば、親がフィルターをかけて視聴を制限したり、親の見える範囲でしか使えないようにしたりと、ある程度コントロールできると思いますが、高校生になると自分の1人の時間も増えてきますからね。
(山田)自分のスマホを持つようになってきますしね。
(橋本)フィルターも自分で外せると思いますし、そういうことが今回の結果に繋がってるのだと思います。
(山田)すごく難しい問題ですけど、特に小中高生に関しては親がある程度コントロールできるから、抑えられているのではないかと思ってしまうのですが。
(橋本)先ほど申し上げたように、高リスクの子供も既にいるというのが現状です。例えば、インターネットの利用時間については小中高生全体では「1時間以上2時間未満」が27%で最多。「2時間以上3時間未満」が24%と続いています。
これが高リスクの子供に限ると、「6時間以上」が33%で最も多かったんです。これだといろいろと生活に支障が出る可能性もあるのではないかと思います。インターネットの使用で「学校の成績が落ちた」と回答した割合は全体では20%なんですが、高リスクの子に限ると64%。
(山田)これはもう本当に依存ですね。
(橋本)中リスクから高リスクに行かないようにすることが一番大事だと思います。
(山田)確かに。でも、彼らは生まれたときからインターネットがあって、タブレットなどがあるじゃないですか。そうなると、インターネットを使うなとは言えないですし、ゲームをするなというのもおかしいかなと思うんですよね。
(橋本)これからますますいろいろなことがスマホなどを使わないとできないということが出てくると思います。インターネットをシャットアウトするのは難しいですね。
調査では「遅刻や欠席が増えた」「(ネット上ではない)現実の友達が減った」「家族との関係が悪くなった」などという項目もありまして、それも明らかに高リスクの子供の方が割合が高いんです。ですから、影響が酷くならないようにインターネットとの付き合い方を自分でコントロールできるようになっていかなければいけないのではないかと思います。
親子でルールを決めて一緒に守ろう!

(山田)そのためのためにはどうしたら良いのでしょうか?
(橋本)僕も具体的な対策がよく分からなかったのでいろいろ調べてみたんですが、いきなりスマホを取り上げたりして遮断してしまうのは良くないと書いてあるものが多かったです。
できる対策としては、本人を含めて家族で使用のルールを作り、それを目立つところに貼っていつでも意識できるようにするというようなことがありました。1日の中でインターネットから離れる時間を設定するという対策も推奨されてます。
大事なのは親も一緒になってルールを守ることです。親は使い放題なのに、自分だけ注意されたら子供は反発するじゃないですか。
(山田)勉強しなさいと言われている横で親がYouTubeを見ていたりすればそうなりますよね。家庭で一緒になってルールを決めていかなければいけないですね。
(橋本)本人が納得してルールを作るということが守ることにも繋がると思います。ルールを破ったらいきなりシャットアウトするのではなく、破った場合のペナルティもあらかじめ決めておく。そうすれば納得感があるのではないかと思います。
(山田)われわれも動画など見ていると、気付いたら15分ぐらい経っていたというようなことがありますよね。
(橋本)6時間以上使用している子供も、本人はそんなに長時間使っているという意識はないのではないかと思います。
(山田)小学生ぐらいだと自分でコントロールできなかったりするので、家庭での取り組みが大事ですね。
(橋本)子供がどんなインターネットを活用しているのかということに親も興味を持って一緒に話をすると、コミュニケーションが取れてリスクの防止に役立つということもあるようです。
(山田)今悩んでいる保護者はどうしたらいいですか。
(橋本)県教委などの相談窓口がありますので、まずは公的な機関の知恵を借りることが良いと思います。子供によって対策は異なると思います。これをやれば大丈夫というものはなく、個々に合わせた対策を講じなければいけないと思います。そのベースとして、いろんな知識を得た上で自分の子供に合った対策を考えていくということが大事だと思います。
(山田)とても考えさせられる内容でした。今日の勉強はこれでおしまい!